フジテレビ系のドラマ「夫婦別姓刑事」で共演した橋本愛さんと佐藤二朗さんのトラブルが、SNS上で大きな波紋を広げている。
発端となったのは、ドラマ撮影現場での身体接触などをめぐる「週刊文春」の報道だった。報道を受け、フジテレビは、佐藤さんについて「当社から言動について、厳重注意を行うとともに、再発防止を求めたことは事実」と認めるコメントを発表した。
一方、フジテレビは「今回の記事を契機として、関係者の方々に対する誹謗中傷が行われている状況について当社は深く憂慮しており、こうした誹謗中傷は厳に控えていただくようお願い申し上げます」とも呼びかけている。
インターネットの誹謗中傷問題にくわしい弁護士は「事実関係が確定していない状況で、断定的に苛烈な意見を述べるのは危険だ」と話している。
●佐藤さん側は文春報道に反論
トラブルの渦中にある佐藤さんや所属事務所は、報道直後から反論を続けている。
佐藤さんは7月3日、自身のXを更新し、次のように発信した。
「勿論、偏った記事とは思ってましたが、ここまでとは。ステレオタイプの『か弱い若い女性』と『典型的な昭和のパワハラオヤジ』を完全に創作してる。
最大級の『注意』や『警戒』が必要と痛感していた僕が、そんな態度を取れる訳がない。自分の身を守る為にも。
嘘はやめて下さい」
佐藤さんの所属事務所も、報道について「事実とは異なる内容や、一方の見解を中心として構成されている部分が多々含まれて」いるなどとして、受け入れることはできないとの見解を示している。
こうした中、SNSでは、双方に対する批判が拡大している。特に橋本さんに対しては、「俳優をやめろ」「仕事をする資格がない」といった投稿も確認されている。
橋本さんの公式Instagramは現在、コメント欄を閉鎖している。
●SNSでの誹謗中傷、民事・刑事で責任問われる可能性
芸能人に対する批判や意見表明は、どこまで許されるのか。今回のように事実関係が争われている段階で、一方の当事者を攻撃する投稿をした場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのか。
インターネット上の誹謗中傷問題にくわしい中澤佑一弁護士は、次のように指摘する。
「芸能人や著名人であっても、名誉権や人格権が法律上保護されることは当然です。程度を超えた誹謗中傷をおこなえば、民事上、刑事上の責任が発生します」
SNSでは現在も、橋本さんに対する人格否定のような投稿が続いている。中澤弁護士は、そのリスクについてこう説明する。
「『見たくない』『嫌い』といった個人の感覚の表明は、原則として自由です。
しかし、そのような個人的見解の表明であっても、言い方が苛烈だったり、回数が多かったりして、人身攻撃に及び、論評の域を逸脱する場合があります。また、侮辱的な文言で名誉感情を傷つける場合には、違法とされ、発言者に法的責任が生じることもあります。
特に、誤った事実関係を前提に意見を述べてしまった場合、後々、法的責任を問われる範囲が広がる可能性があります。事実関係が確定していない状況で、断定的に苛烈な意見を述べるのは危険です」
●画面の向こうにも、傷つく人がいる
中澤弁護士は、SNSで発信する際の心構えについて、次のように注意を呼びかける。
「画面の向こうにいる著名人に対しては、どこか自分とは違う世界の存在だと思ってしまうのか、友人や知人なら面と向かっては到底言えないようなひどい言葉を投げかけてしまう事例がしばしば見られます。
しかし、画面の向こう、ネットの向こうにも、自分と同じようにひどいことを言われたら傷つく人間がいます」