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住友理工が通勤・休憩中の「ポケモンGO禁止」…自由時間への介入に問題はないのか?
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住友理工が通勤・休憩中の「ポケモンGO禁止」…自由時間への介入に問題はないのか?

通勤中、休憩中の「ポケモンGO」禁止ーー。自動車部品などを製造する住友理工が、「ポケモンGO」などのスマートフォンゲームの利用を、休憩時間や通勤中に禁止していると報じられ、「小学生と同レベルの注意」「労災が絡むんだから危険行為を制限するのは当然」などとネットで話題になった。

報道によると、住友理工は、世界105拠点の従業員約2万4千人に向け、7月下旬にメールにて通達を行った。注意喚起が狙いで、罰則はないとしている。

一般的に、通勤中や休憩時間など、本来個人の自由に過ごせる時間の過ごし方に企業が介入することは法的には問題はないのか、河野祥多弁護士に聞いた。

●注意喚起にとどまるのではあれば、問題はない

「労働者は休憩時間を自由に利用できるのが原則です(労働基準法34条3項)。したがって、休憩時間に対する企業の介入は基本的に違法です。ただ、この休憩時間自由利用の原則は、(1)施設管理の必要性と、(2)職場規律の維持の必要性に基づく合理的な制約を受けます」

河野弁護士はこのように述べる。「ポケモンGO」を禁止することについて、こうした必要性はあるのだろうか。

「休憩時間中に『ポケモンGO』を利用することで、施設管理や職場規律に弊害が生じることは考えにくいです。

そのため、休憩時間の『ポケモンGO』利用禁止を就業規則で制約することは基本的に違法な行為と判断されるでしょう。これは、通勤中に対する制約に対しても同様です。

ただ、今回の件は、罰則を伴わない、注意喚起を目的としたメールでの通知とのことですので、記載内容にもよりますが、原則として違法とまでは言えないでしょう。

実際に、歩きスマホが原因で多くの事故が発生しています。当然、個々の従業員は、社会人として節度あるスマホの利用が望まれています。

そこで、それを注意喚起という形で企業の方から、従業員に伝えること自体は有益な側面もあるでしょう。

ただ、それが法的もしくは事実上の強制力を伴ってくると、問題も発生してきます。あくまでも個々の従業員の自発的な意思に訴えかける形での注意喚起と言えるかどうかが重要になってくるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

河野 祥多
河野 祥多(こうの しょうた)弁護士 むくの木法律事務所
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。

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