離婚で住宅ローンが払えない時の対処法|オーバーローンの家はどうする?

離婚後に住宅ローンを払い続けるのは難しい一方で、家を売ってもローンを完済できない「オーバーローン」状態に悩んでいませんか。

オーバーローンの家はどうするべきか、連帯保証人やペアローンの責任、滞納から競売に至るリスク、任意売却や住み続ける場合の注意点、債務整理などの対処法を、わかりやすく解説します。

目次

  1. 離婚後にローンの支払いを滞納・放置するとどうなる?想定されるトラブル
  2. 対処法を決める前に「正確なオーバーローン額」の把握を
  3. オーバーローンで離婚後の住宅ローンが払えない場合の対処法
  4. 「どちらかが家に住み続ける」選択をする際の注意点
  5. 家を売却して借りる「リースバック」という方法も
  6. 住宅ローンと離婚問題の同時解決を弁護士に相談するメリット
  7. 離婚時のオーバーローンに関するよくある質問(FAQ)

離婚後にローンの支払いを滞納・放置するとどうなる?想定されるトラブル

離婚後にローンの支払いをしないことによるトラブルを示した図 離婚後、住宅ローンの名義人(債務者)がローンを払えなくなり、そのまま放置してしまうと、深刻なトラブルに発展する可能性があります。 ここでは、ローンの支払いが滞った場合に起こり得るリスクについて、主な状況別に「名義人・連帯保証人・ペアローン」の3つに分けて解説します。

名義人が住宅ローンを滞納すると、最終的に家は「競売」に

住宅ローンの名義人(借りた本人)が数か月にわたって返済を滞納したまま放置すると、金融機関は最終的に「抵当権(ローンを払えなくなった時に家を差し押さえる権利)」を実行し、裁判所に「競売(けいばい)」の申立てを行います。 その結果、裁判所を通じて強制的に家が売却される「競売」にかけられることになります。 「競売」では、通常の不動産市場で売るよりも安い価格(市場価格の7〜8割程度など)で落札されることが多く、さらに、所有権は家を落札した第三者に移るため、現在その家に住んでいても強制的に退去しなければならなくなります。 また、競売で家が売れた代金を銀行に返済しても返しきれなかったローン(残債)は消えません。残ったローン(借金)については、名義人はもちろんのこと、連帯保証人がいる場合は連帯保証人も引き続き返済義務を負うことになります。

連帯保証人になっている場合は「返済の請求」がくる

「元配偶者が名義人(主債務者)で、自分が連帯保証人になっている」というケースでは、離婚届を出して夫婦ではなくなったとしても、金融機関との連帯保証契約は消えません。 そのため、名義人である相手が住宅ローンの支払いを滞納した場合、金融機関から連帯保証人であるあなたに対して、代わりに返済するよう請求がきます。 最初は滞納している月々の分を請求されますが、数か月にわたって滞納が続くと「分割で返済する権利(期限の利益)」が失われ、最終的には残りのローンを一括で返済するよう求められることもあるなど、大きなリスクがあります。

ペアローンの場合は双方に請求・競売のリスクがある

ペアローンは、夫婦それぞれが「自分のローンの名義人」であると同時に、「相手の借金の連帯保証人」にもなるのが一般的です。 住宅ローンは原則として「契約者本人が居住すること」を条件としているため、離婚に伴い、ペアローンのままどちらかが家を出ていく場合は、まず、契約先の金融機関への事前相談が必要です。 金融機関に無断で引っ越すと契約違反となり、一括返済を求められるリスクがあるため、必ず連絡しましょう。事前に事情を説明し、返済を継続できればそのまま住み続けられるケースがほとんどです。 しかし、「自分の分をきちんと払っていれば大丈夫」というわけではありません。相手が支払いを滞納すれば、連帯保証人に対して「相手の分も代わりに払ってください」と請求がきます。 もし相手の分を立て替えられなかった場合、相手の分の支払いが滞ったことになり、たとえ自身の分のローンを払っていても、最終的に家全体が競売にかけられてしまうリスクがある点には十分注意が必要です。 みんなの法律相談には、「離婚時のペアローン」に関する相談が寄せられています。

住宅ローン 離婚 ペアローン

相談者の疑問 離婚して、主人とペアローンの自宅を主人に住み続けてもらい私だけでたいのですが、住宅ローンの手続きはどうすれば良いですか。
>> 質問の続きを見る

岡田 晃朝の写真 弁護士の回答岡田 晃朝弁護士 銀行に連絡して事情を説明して、ご主人の単独ローンへの切り替えでしょう。
他に保証人などが必要かもしれません。
あるいはほかの銀行で、ご主人単独のローンを組んで借りかえるか。

それが難しい時は、ご希望には沿いませんが、家を売却してローンを返して離婚という方向になるでしょう。
ご主人が住みたいのでしたら、出来る限りの条件をのんで銀行と交渉するしかないでしょう。>> 回答の続きを見る

対処法を決める前に「正確なオーバーローン額」の把握を

「家を売ってもローンが返しきれない(オーバーローン状態)」であることがわかっていても、まずは「正確にいくら足りないのか」を客観的な数字で把握することが不可欠です。

オーバーローンの家は原則として「財産分与」の対象外

離婚時の財産分与は、夫婦で築いた「プラスの財産」から「マイナスの財産」を差し引き、残ったプラス分を分け合うのが基本ルールです。 そのため、家単体で見てマイナスの価値となっているオーバーローンの家は、原則として財産分与の対象から外れることになります。 「相手が家とローンを引き受ける代わりに、自分が預貯金を全額もらう」といった単純な分け方は、法的には認められないケースが多いため、まずは正確な状況を把握し、家とローンをどうするかを現実的に考える必要があります。

「不足額」は複数の査定で、できるだけ正確な額を

家を売却しても足りない金額は、正確に把握しておきましょう。 できれば複数の不動産会社に査定を依頼し、その査定額と、金融機関から送られてくる「ローン残高証明書(または返済予定表)」を見比べてください。

オーバーローンで離婚後の住宅ローンが払えない場合の対処法

査定の結果、家を売却してもローンが残る「オーバーローン」状態だと判明し、今後の住宅ローンを払い続けるのが難しい場合、取り得る選択肢は主に以下の4つです。

  • 通常の売却(不足分を自己資金で補って売る)
  • 住み続ける(どちらかが家に残り、ローンを払い続ける)
  • 任意売却(銀行の同意を得て、市場価格で売る)
  • 債務整理(自己破産などで借金を整理する)

それぞれのメリットや注意点について、詳しく解説します。ご自身の状況に合った方法を検討してみてください。

1. 不足分を自己資金で補てんして「通常の売却」をする

オーバーローンの不足分を自己資金で補てんし、売却代金と合わせてローンを完済して家を売却する方法です。 たとえば、家の査定額(売却予想価格)が2,000万円でローン残高が2,500万円の場合、差額の500万円を自己資金として用意します。 引き渡し当日に「売却代金2,000万円 + 自己資金500万円」でローンを全額完済することで、家の抵当権(金融機関の担保権)を抹消し、通常の物件として買主に引き渡すことが可能になります。 離婚後に借金(債務)を残さず、またペアローンや夫婦で主債務者・連帯債務者となっている場合には相手との金銭的なつながりも完全に断ち切ることができるため、最もトラブルが少ない選択肢ですが、用意すべき自己資金の金額によっては、現実的にハードルが高い方法でもあります。

メリット デメリット・注意点
離婚後にローンが残らない 相手との関係を完全に清算できる まとまった現金が必要

2. どちらかが家に住み続け、ローンを払い続ける

「子どものために環境を変えたくない」といった理由などから、どちらかが家に住み続け、これまで通りローンを払い続ける方法です。 ただし、この選択肢には、将来的な滞納・競売リスクが伴います。特に名義人ではない方(たとえば夫名義の家に妻が住むなど)が住み続ける場合は、ローンを払う側が途中で支払いをやめてしまい、住む場所を失うといったトラブルが起きることも考えられます。

メリット デメリット・注意点
生活環境を維持できる 名義人のローン滞納による競売のリスク 最終的に強制退去になる恐れがある

3. 銀行の同意を得て家を売る「任意売却」を行う

手持ちの資金で不足分を補填できない場合に、銀行(債権者)の同意を得て、市場価格に近い金額で家を売却する方法が「任意売却」です。 通常の売却では、ローンを全額完済しないと家を売ることができません。しかし任意売却では、ローンが残っていても家を売却することが認められます。売却した代金はローンの返済に充てられ、それでも返しきれなかった残債については、無理のない範囲で分割返済していくことになります。 競売にかけられるよりも高く売れる可能性が高く、残債を減らしやすいのが特徴ですが、進めるには銀行だけでなく、不動産名義人(不動産の名義人とローンの契約者が完全に一致しない場合)や連帯保証人の同意も必要になります。

メリット デメリット・注意点
競売を避けられる 売却後の残債は分割返済できる 銀行や共有名義人・連帯保証人の同意が必要

4. 最終手段としての「債務整理(自己破産など)」

どうしてもローンを払えず、任意売却も困難で解決の糸口が見えない場合などは、最終手段として自己破産や個人再生といった「債務整理」という手段もあります。 自己破産の手続きを行えば、住宅ローンを含む原則すべての借金が免除され、住宅ローンについても最終的には免除されます。その代わり、家などの財産は手放すことになり、信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)ため、数年間はクレジットカードの作成や新たな借入が難しくなります。 デメリットも大きいため、まずは任意売却などで解決できないかを含め、早めに弁護士などの専門家に相談して状況や方針を整理するようにしましょう。

メリット デメリット・注意点
住宅ローンを含むすべての借金が免除・減額される 家などの財産を全て手放すことになる 数年間は新たな借入等が難しくなる

みんなの法律相談には、「夫婦各々が頭金を出した住宅の財産分与」に関する相談が寄せられています。

不動産の財産分与の方法について

相談者の疑問 離婚協議中です。不動産の財産分与の方法について教えてください。
不動産購入時、夫婦各々が特有財産から頭金を出し、不足分を住宅ローンで支払いました。
>> 質問の続きを見る

中間 隼人の写真 弁護士の回答中間 隼人弁護士 ①財産分与の計算方法について教えてください
上記の考え方で算定することも一般的によくあります。

②上記の諸費用の中に所謂仲介手数料や登記費用のようなものだけでなく、引越し代、リフォーム代、家具購入代も含まれるのでしょうか?
引っ越し代、リフォーム代、家具購入代は当然には含まれませんが、>> 回答の続きを見る

「どちらかが家に住み続ける」選択をする際の注意点

「子どものために環境を変えたくない」「夫がローンを払うと約束してくれた」という理由から、離婚後もどちらかが家に住み続ける選択をする方は少なくありません。 しかし、この選択には将来的に住まいを失うなどのリスクが伴うため、事前に慎重な検討が必要です。

離婚届を出しても連帯保証人・ペアローンの責任は残る

離婚によって法的には他人になっても、金融機関との間で結んだ「連帯保証契約」や「ペアローンの債務」が自動的に消滅することはありません。 夫婦間の話し合いで「名義人(債務者)が残りの住宅ローンを支払う」と取り決めることは可能です。しかし、もし名義人が支払いを滞納すれば、金融機関から連帯保証人に対して代わりに返済するよう請求が届くことになります。 連帯保証人が代わりに支払った場合、相手に対して返還を求める(求償する)ことはできますが、そもそも相手に支払い能力がなければ回収は困難でしょう。 連帯保証人を外れるには、別の保証人を立てるか、ローン自体を借り換えるなどの対応が必要ですが、オーバーローン状態では新たな保証人を見つけることや借り換え審査を通すことは現実的に厳しいケースも少なくありません。

具体例|「ローンの支払いは夫、住むのは妻子」のリスクと対策

離婚時に「夫がローンを払い、妻と子どもがそのまま家に住み続ける」と約束するケースは多いですが、この約束には大きく3つのリスクが潜んでいます。

① 名義人の滞納リスク

元夫がローンを滞納すれば、最終的に家は競売にかけられ、妻と子どもは強制退去を迫られる恐れがあります。これを防ぐためには口約束に頼らず、万が一支払いが滞った場合の取り決めなどを「公正証書」として法的な文書で残しておくことが推奨されます。

② 団信と相続のリスク

住宅ローン契約時に、団体信用生命保険(団信)にも加入していた場合、名義人が亡くなれば残りのローンは全額免除されます。 その後、遺言がなければ家の「所有権」は、法定相続人に引き継がれます。たとえば、再婚していれば新しい配偶者が、再婚はしておらず、かつ元配偶者との間に子どもがいれば、その「子ども」が相続人になるのが基本です。 将来の相続トラブルを防ぐためには、離婚時に、家の相続に関する遺言書を作成しておくと安心です。

③ ローン規約(居住要件)違反のリスク

住宅ローンは、原則として名義人本人(またはその家族)が住むことを条件に貸し出されています。そのため、名義人である元夫が家を出て、元妻と子どもだけが住み続けると、契約上の居住要件に反し、金融機関から残りのローンの一括返済を求められる(期限の利益を失う)リスクがあります。 返済が続いている間は直ちに問題化しないことも多いものの、住民票の異動などをきっかけに発覚する可能性はあります。こうした事態を避けるには、あらかじめ金融機関に事情を相談する、元妻名義で借り換える、といった対応をあわせて検討することが大切です。

住宅ローンの支払いを「養育費・慰謝料の代わり」にする危険性

養育費は子どもの生活費や教育費として、毎月確実に受け取るべき大切な資金です。 これをローンの支払いと相殺してしまうと、夫がローンを滞納して家が競売にかけられた場合、住む場所を失うだけでなく、「本来受け取れるはずだった養育費も途絶えてしまう」という二重の窮地に陥る可能性があります。 そのため、養育費とローンの支払いは必ず切り離し、養育費は現金で毎月受け取る形にするようにしましょう。 みんなの法律相談には、「夫名義の家に住み続ける場合」に関する相談が寄せられています。

離婚後、旦那名義の戸建てに住み続けた場合について

相談者の疑問 夫40 私(30代前半)子供4歳。夫との離婚を考えています。
3年前に夫名義で家を建てました。35年フルローンです。
>> 質問の続きを見る

木村 将俊の写真 弁護士の回答木村 将俊弁護士 【質問1】
旦那様が、何らかの事情で住宅ローンのお支払いができなくなった場合、お支払いの遅滞が一定限度を超えてしまうと、>> 回答の続きを見る

家を売却して借りる「リースバック」という方法も

今の家に住み続ける方法としては、「リースバック」という選択肢もあります。 リースバックとは、家を不動産会社や投資家に売却し、その後は新しい所有者と賃貸借契約を結んで、家賃を支払いながら同じ家に住み続ける方法です。 生活環境を変えずに済む点が最大の魅力ですが、以下のようなデメリットや注意点もあります。

メリット デメリット・注意点
同じ家に住み続けられる 買い手が見つからないことがある 毎月の家賃が割高に設定されやすい 「定期借家契約」になることが多く、数年後の退去リスクがある

あくまで選択肢の一つとして慎重に検討し、どうしても希望する場合は、売却後の借金処理も含めて早い段階で弁護士に相談し、見通しを立てることが重要です。

住宅ローンと離婚問題の同時解決を弁護士に相談するメリット

オーバーローンの住宅がある状況での離婚は、ローン問題だけでなく、離婚条件(財産分与・養育費など)や相手の同意の取り付け、残債の整理など複数の法的問題が絡み合います。 これらを弁護士に一括して依頼することで、以下のメリットがあります。

  • 相手との交渉・法的手続きを任せられる
  • 残債の整理や離婚条件の交渉までトータルで依頼できる

弁護士が窓口となることで、相手と直接顔を合わせる精神的負担も軽減されます。 一人で抱え込まず、まずは無料相談を活用して今後の見通しを確認してみましょう。

離婚時のオーバーローンに関するよくある質問(FAQ)

Q1: 離婚後に、元夫が住宅ローンを滞納したらどうなりますか?

もし妻側が「連帯保証人」や「連帯債務者」になっていれば、金融機関から返済の請求がくる可能性があります。また、そのまま家に住み続けていた場合、ローンの滞納が続くと最終的に家が「競売」にかけられ、退去させられる恐れがあります。

離婚届を出しても連帯保証契約は消えないため、離婚時に家を売却(任意売却など)して清算するか、連帯保証人を外す手続きを取ることが推奨されます。

Q2: 相手が勝手に家を売ってしまうことはありますか?

家が「共有名義」なら全員の同意が必要なため、相手が単独で家全体を勝手に売却することはできません(自分の共有持分のみの売却は可能)。

家が相手の「単独名義」の場合は勝手に売却手続きを進めることが可能です。この場合、連帯保証人であることは売却を止める法的理由にはなりません。不安な場合は早めに弁護士へ「処分禁止の仮処分」などの法的手続きを相談してください。

Q3: 離婚を機に「連帯保証人」を外れる方法は本当にないのでしょうか?

方法がないわけではありません。「代わりの保証人を立てる」か「ローンの借り換え」が必要です。ただし、オーバーローン状態では審査通過が極めて厳しいため、家を売却(任意売却)して関係を清算することが最も確実な解決策となるケースが多いです。

この記事の監修者
小田 紗織弁護士のプロフィール画像
神戸マリン綜合法律事務所
小田 紗織 弁護士
(兵庫県弁護士会)
監修者のプロフィールを見る

この記事は、公開日時点(2026年07月24日)の情報や法律に基づいています。

記事のタイトルとURLをコピー