
大学院で医学を学び、医療過誤問題に注力〜「依頼者の不安を少しでも取り除けるように」
「医師にならなくても医療過誤をなくすことができるかもしれない」
ーー弁護士を目指したきっかけや、その理由を教えてください。
私が12歳の時に、祖母が亡くなりました。持病の投薬量の関係で医療過誤の疑いがあったのですが、家族は、「先生も頑張ってくれたのだから」と病院側の責任を追及することはしませんでした。
私は、祖母に懐いていたので、祖母がなぜ突然亡くなることとなったのか、その真実が知りたいという想いを常に抱いていました。
祖母の死をきっかけに、最初は弁護士ではなく医師を目指しました。祖母と同じ症状の人たちを含め病気で苦しんでいる人々を救いたいと思ったためです。
しかし、金銭的に医学部進学は難しい状況だったこともあり、大学は文系の学部に進学しました。
大学入学後、法律の授業を受ける機会があり「法律で事実を解明できる」ことを知りました。その頃から、「弁護士でも、医療過誤をなくすことができるかもしれない」と考えるようになったのです。
医師への思いも残っていたため、大学を卒業してからは、旧司法試験と医学部の編入試験に両方チャレンジしていましたが、最終的には弁護士を目指すことを決意してロースクールへ進学しました。
ーー司法試験に合格した後、医学系の大学院に進まれていますね。
北海道で司法修習中、法医学研究室の先生と知り合い、「東京の先生を紹介するから、医学部大学院の入学試験を受けてみたら」とアドバイスをもらったのです。今も、大学院生として通学しています。
法医学は、「何が原因でその人が亡くなったのか」「事件の背景にいったい何があったのか」という視点から、亡くなった人の死の真相を究明していく学問です。解剖の結果や様々なデータをもとにして、一つの結論を導き出していきます。根本的に、自分がやりたいと思っていた分野と非常にリンクしているので、熱心に取り組んでいます。
ーー注力している分野と、その理由をお聞かせください。
医療過誤の分野です。もちろん、その他の分野であっても依頼があれば積極的に受けています。
医学系の大学院で学んでいるので、医療の知識は一般的な弁護士より豊富だと思います。研究室に所属していることもあって、研究室所属の先生方に医療に関していろいろ教えてもらうこともあります。
「今後もいっそう知識と経験を深めながら医療過誤問題に注力したい」
ーー仕事をするうえで心掛けていることは何ですか。
当たり前のことですが、依頼者の話をきちんと聞くことです。依頼者が弁護士に何を求めているのか、相談内容の事実確認など、しっかりヒアリングするようにしています。
医療過誤の場合、家族を亡くした人、重篤な後遺症が残ってしまった人などが相談に来ます。依頼者は今後に対して大きな不安を抱えているので、必要以上に悲観的になったり、ふさぎ込んだりすることがないよう、弁護士としてできる限りのアドバイスをしています。
依頼者が少しでも未来に期待が持てる可能性があるなら、必ずその旨を伝えて、前向きになってもらえるよう努めています。
ーーこれまで弁護士として活動してきたなかで、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
医療過誤事件において、病院と粘り強く交渉を続けて、少しずつ事態が進展していった時のことです。まだ最終的な解決の段階ではなかったのですが、「真実が解明されてきていることがうれしい。自分たちだけではここまでできませんでした」と依頼者から感謝されたことがありました。「弁護士をやっていてよかった」と心から思ったことを覚えています。
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごしていますか。
子どもがまだ小さいので、休みの日はずっと一緒に過ごしておもちゃで遊んだりしています。最近歩き始めて行動が活発になってきたので、目が離せないですね。ちょっと目を離すと、すぐ一人でどこかへ遊びに行ってしまいます。
以前は、国内海外問わずよく旅行に出かけていました。最近は子どもが小さいので、行っていませんが、いずれ再開したいです。
ーー今後の展望をお聞かせください。
今後も、いっそう知識と経験を深めながら医療過誤問題に注力していきたいです。「医療過誤問題なら木村弁護士に頼もう」と、頼っていただけるようになりたいですね。
ーー最後に法律トラブルを抱えて悩んでいる方にメッセージをお願いします。
「法律事務所は敷居が高い」と思ってしまう人が多いそうですが、そんなことはありません。困ったことがあれば、気軽に何でも相談してほしいですね。