依頼者との丁寧な対話がモットー・民事信託士の資格を活かし、「終活」支援に力を入れる
子どもの頃から、相談を受けることが多かった
ーー先生が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
子どもの頃から、友だちの相談に乗ったり、ケンカの仲裁に入ったりすることが多かったんです。子ども心に、「弁護士のような仕事が向いているのかなあ」と感じていました。なぜか他の職業をあまり知らなかったので、単純に「弁護士」と思ってしまったのかもしれません。
今でも、小学校時代の友だちに会うと、「小さい頃からずっと弁護士になりたいって言ってたよね」と言われます。
ーー早くから弁護士を目指して勉強を頑張っていたのでしょうか。
弁護士になりたいとはずっと思っていましたが、中学・高校時代はブラスバンド部の活動に熱中していました。ブラスバンドの練習は運動部並みにハードなんです。マーチングもする部だったので、炎天下の河川敷で毎日練習したりして青春を満喫していましたね。
具体的に弁護士を意識したのは、部活を引退して、大学受験に本腰を入れ始めてからです。司法試験にチャレンジしたかったので、法曹志望者が多く、試験対策をしっかりしてくれそうな大学を選んで受験しました。
ロースクール1期生。仲間と切磋琢磨
ーー大学生活はいかがでしたか。
1年生から司法試験対策のゼミに入って勉強し、在学中に受験もしました。でも、あと少しというところで合格できなくて。諦めきれずにいた頃、ちょうどロースクール制度が始まったんです。その波に乗って、1期生として法科大学院に入学しました。
ロースクールでの勉強は大変でしたが、周囲から刺激をもらえたので挫けることはなかったです。同じ志を持った仲間に囲まれて勉強できる環境はとても刺激的で楽しく、第二の青春ともいうべき、かけがえのない時間を過ごしました。
依頼者のニーズに合わせた「人生の幕の下ろし方」を提案
ーー注力している分野を教えてください。
終活の支援に注力しています。私の勤務する事務所は、神戸市垂水区という古くからの住宅街にあります。お年寄りが多く、人生の幕の下ろし方を自分で決めたいという方からの相談を多く承っています。
より充実したサポートを提供するために、民事信託士という資格も取得しました。
ーー民事信託士とはどういった資格なのでしょうか。
まず、民事信託とは、自分の財産を信頼できる人に託して、管理や処分を任せる制度です。認知症などにかかって判断能力が低下した場合に備えて、元気なうちに財産の管理方法を決めておくことができます。
民事信託士は、認定試験に合格した弁護士と司法書士だけが得られる資格で、いわば民事信託のエキスパートです。
具体的には、財産管理の方法を検討している方に民事信託を提案し、そのメリットやリスクを詳しく説明したり、依頼者のニーズに合わせたオーダーメイドの信託契約書の案を作成したりするなどの業務をおこないます。
また、受託者(財産の管理を託された人)が財産を適切に管理するための事務手続きや、受託者の監督などをおこなう場合もあります。
民事信託は、一般の方にはまだあまり知られていません。終活のための1つの選択肢として認識していただけるよう制度の内容を正しく伝え、実際に制度を利用する方に対しては運用開始から終了までしっかりサポートすることが私たちの役割です。
制度への理解を一層深めるために勉強と情報収集に努め、依頼者に満足していただけるサービスを提供していきたいと思います。
丁寧な対話で依頼者との信頼関係を築く
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者の話を丁寧に聞くことです。事件との関連性があるかないかにかかわらず、本人が私に伝えたいと思うことならば、真摯に聞き、受け止めるべきだと考えています。
離婚の相談を受けるときには特に意識します。法律トラブルの中でも、離婚は非常にデリケートな問題です。私のもとに離婚の相談で来る方は女性が多いのですが、夫との関係や子どもに関する悩みを誰にも言えずに苦しんできた方が少なくありません。
出会いから結婚、そして今回のトラブルに至るまでの経緯や、今のお気持ち、不安に感じていること、今後の意向などを、1つひとつ時間をかけてヒアリングします。
じっくり対話をすることで、事務所に来たときは沈んだ表情だった方も、相談後には見違えるように表情が明るくなるんです。
真摯に話を聞くことは依頼者との信頼関係構築にもつながります。初回の相談時はもちろん、依頼していただいた後の打ち合わせでも常に意識しています。
些細だと思うことも、ためらわずに相談してほしい
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
家族と過ごすことが多いですね。小学生の娘がいるので、習い事の送り迎えや勉強を教えたりして、休日は子どものスケジュールに合わせて動いています。
娘がもう少し大きくなって自分の時間ができたら、ピアノの練習を再開しようかと思っています。娘もピアノを習っているので、一緒に弾けたらいいですね。
ーー先生の今後の展望をお聞かせください。
終活のサポートにより力を入れたいと考えています。
民事信託は終活に役立つ制度で、できた当初は「万能」とも言われていましたが、実はリスクもあります。単体よりも他の制度と組み合わせて使う方がお勧めなんです。
終活のために使える制度は民事信託のほかにもいろいろあります。複数の選択肢があれば、その中から自分に合う方法を選べるので、セミナーなどの広報活動を積極的におこなって、情報発信していきたいと考えています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩みがあっても、「こんな些細なことを弁護士に相談していいのかな」とためらう方もいるでしょう。
しかし、ご自身では些細だと思うことでも、弁護士から見れば大きなトラブルにつながる問題ということは少なくありません。まだ悩みが小さい段階で相談に来ていただければ、大事に至らないよう予防することができますので、遠慮せずに相談していただければと思います。