毎日新聞などの報道によると、森友学園への国有地売却を担当した財務省近畿財務局管財部に所属し、2018年3月7日に神戸市内で自殺した男性職員は2017年8月、「心身共に疲れた。夜も眠れない。月100時間の残業が続き、つらい。自分の常識が壊された」と親族に電話で話し、医師の診断も受けていたという。
森友問題に対し、この男性職員が具体的にどう関わっていたかは明らかになっていないが、森友問題への対応に追われていたとも伝えられている。月100時間の残業が続いて、心身が悲鳴をあげ、結果的に自殺したとしたら、公務災害と認定されないのか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いた。
●月100時間の残業、過重な心理的負荷
ーー公務災害と認定されるでしょうか
「公務災害として認定される可能性が高いと思います。公務災害でも民間の労災においても、心理的な負荷のある出来事があり、その対応等のために月間100時間程度の時間外労働が認められ、うつ病などの精神疾患に罹患して自死に追い込まれた場合には、公務災害の認定(民間労働者なら労災認定)がなされるのが通常です」
ーー公務災害はどのような類型がありますか
「人事院の『公務に関連する負荷の分析表』で例示されています。自殺された男性職員が森友問題に関する対応に責任者または担当者として追われていたなら、分析表のなかの類型『不祥事の発生と対処』のうち、『行政上の不手際が発覚し、責任を追及された』『責任者として事態の収拾に当たった』に該当すると考えられます。
さらに、分析表は『過重な負荷となる可能性のある業務例』という項目も立てて、『大きな不祥事が発覚し、社会的な批判を受ける中、責任者として事後的な対応に追われた場合』とも例示しています。今回はまさにこちらにも当てはまるでしょう」
ーー残業時間も非常に長かったようです
「いわゆる『過労死ライン』と言われている月間100時間程度の時間外労働ということですので、この方の精神的・肉体的な負担の大きさは明らかです」