成人男性が未成年の女子と交際する際、どんな注意が必要なのでしょうか。たとえば「未成年者略取誘拐罪」に該当しないでしょうか。未成年との交際の注意点について、小田紗織弁護士に聞きました。
●女性は16歳になれば婚姻できるが…
そもそも未成年の少女と交際していること自体に問題はないのでしょうか。
「女性は、16歳になれば婚姻できる(民法731条)とされており、また、結婚相手の年齢にも制限はないので、18歳未満の少女と成人男性とが恋愛・交際することも当然に想定されています。
ただし、18歳未満の少女との性行為に関しては、事実上の影響力を及ぼして働きかけ、性交させる行為は禁止されてますから児童福祉法で罰せられます。また、少女にお金を渡したりして性行為をすると児童買春となり、処罰の対象になります。
さらに、各都道府県には青少年健全育成条例があり、多くの場合、事実上の影響力の有無やお金のやりとりがあったかに関係なく、18歳未満の少女との『みだらな性行為』や『わいせつな行為』、深夜に外出することなどを禁じています」
●未成年者略取誘拐罪の可能性は?
たとえば、日帰りの温泉旅行に行くようなデートであれば、問題はないのでしょうか。
「性行為がそもそもないのであれば、問題はないでしょう。
また、先ほど説明した青少年健全育成条例では、正当な理由なく、青少年を深夜(東京都の場合、午後11時から午前4時まで)に連れ出すことは禁止されていますので、温泉地からの戻りが遅くなって、深夜に及ぶのであれば注意が必要です」
「未成年者略取誘拐罪」についてはどうでしょうか。
「暴行や脅迫などの手段を用いたり、騙したりして連れ出したのでなければ、罪に問われることはないでしょう。ただ、もし、そういう要素が少しでもあるのなら、注意が必要です」
●相手のことを思うなら、よく考えて
最後に小田弁護士はこうも指摘した。
「最近、こういった案件の相談をいくつか受けていて、『真剣交際』とはいえ、心身の未成熟な少女に対して、成人した男性がその経験値、年齢、経済力を背景に威圧して困惑させ、騙し、あるいは、男性の都合の良いように誘導するといったことが多かれ少なかれあり、当事者が対等とはいえないケースが多いというのを感じます。
そして、交際がうまくいかなくなってきた際に、不当な扱いを受けてきた少女やその親の不満が爆発してトラブルに発展することがあります」