沖縄県名護市の辺野古沖で2026年3月16日、同志社国際高校(京都府京田辺市)の研修旅行中の生徒18人が乗った船2隻が転覆し、2年生の武石知華さんと船長が死亡した事故で、学校法人同志社が設置した特別調査委員会(委員長・渡辺徹弁護士)は7月31日、218ページの調査報告書を公表した。
報告書は、学校法人同志社の安全配慮義務違反は明らかだと結論づけた。
この報告をうけた学校側も同日、公式サイトで「調査報告書の内容を真摯に受け止め、十分に精査するとともに、再発防止策の拡充等の検討を行ってまいります」とコメントしている。
●3つの義務違反
委員会は、安全配慮義務違反について、具体的に学校側が果たすべきだった義務違反を3つ挙げた。
(1)辺野古ボートコースについて事前調査を行う義務
(2)同コースを実施するのであればその安全性を確保した研修旅行計画を策定し、実施する義務
(3)同コースの具体的内容を生徒・保護者に事前に適切に説明する義務
●(1)事前調査義務違反「最も肝心な下見は行われず」
報告書は、現地の下見が一度も行われていなかったとした。
「本来当然に行われるべき辺野古現地の下見を一度も行うことなく、従前から関わりがあった船長(報告書ではアルファベット)に対する根拠のない盲目的な信頼の下、辺野古ボートコースの導入を決定し、辺野古での反対活動に関するインターネット上の情報や船長の著書の確認といった容易な方法からすらも調査に着手した形跡がなく、2022年度の実施以降、事故が発生していないことから辺野古ボートコースは安全であるという何ら合理的根拠のない思い込みに基づき、必要な事前調査を行わないまま継続を決定してきたものであって、学校として必要とされる事前調査が尽くされていたとはおよそ認められない」
コースの導入を決めた教員自身も、委員会にこう述べているという。
「仮に導入当時に立ち戻って下見をしていたのであれば、プログラムの導入を中止する、あるいは(安全性を確保した)別の方法を考えるといった判断をした可能性はあったかもしれない」
●計画策定・実施義務違反「基本的なルールが全く定められておらず」
2つ目の計画策定・実施義務違反については、事故当時の危機管理マニュアルに「校外活動全般について記載がない上に、事前の危機管理に関する記載は一切定められていない」との不備があり、教員がボートに必ず乗船するか、誰が最終的な出航判断をするかといった「基本的なルールが全く定められて」いなかったとした。
その結果として、事故当日は前半組のボートに教員が誰も同乗しなかったとして、義務が「果たされていたとは到底認められない」とした。
●説明義務違反 保護者向け資料の写真は「右下に小さく1枚」
3つ目の説明義務については、2025年度に保護者向けの説明資料へ船の写真が景色を含む5枚のうち「右下に小さく1枚」載った以外は写真もなく、どの年度でも「本件ボートが抗議船であること、航路やその安全性、乗船時の注意事項等についての説明はなされていなかった」と認定した。
●原因の根底に「想像力の欠如」
委員会は義務違反の認定とは別に、事故の原因を4つ挙げた。
(1)2025年度辺野古ボートコース実施にあたっての安全管理体制等の不備
(2)リスク管理体制等の機能不全
(3)安全管理に関する検証を妨げた組織風土
(4)安全管理に関する意識の欠如
報告書はこう結ばれている。
「これらの原因の根底には、多くの教職員において、生徒の身体、生命の安全を確保するために何をなすべきかという観点で大きな『想像力の欠如』があったものであり、およそ非難を免れず、猛省しなければならない」