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近所の紳士服店が「完全閉店セール」中ですが、4カ月目に入っても営業しています。問題ないのでしょうか?
写真はイメージ(yamahide / PIXTA)

近所の紳士服店が「完全閉店セール」中ですが、4カ月目に入っても営業しています。問題ないのでしょうか?

「完全閉店」をうたいながら、数カ月にわたってセールを続ける店がたびたび注目を集める。

地域経済に関するニュースを配信する「リアルエコノミー」によると、札幌市にある紳士服店では、「完全閉店」のポスターを掲げて割引セールを実施している。

しかし、4カ月目に入っても営業は続き、店内には多くの商品が並んでいるという。具体的な閉店日は告知されておらず、系列の別店舗でも同様の「完全閉店セール」が始まっていると報じられている。

一般論として、購買意欲をかき立てる「閉店セール」を長期間続けたり、閉店予定日が示されないまま「完全閉店」と表示することに法的な問題はないのだろうか。消費者問題にくわしい金田万作弁護士に聞いた。

●景品表示法違反の恐れ

──閉店セールを長期間にわたって続けることは、法的に問題ありますか。

「閉店セール」という表示は、消費者に「この機会を逃せば二度と手に入らない」「今だけ特別に安く購入できる」という強い印象を与えます。

実際には閉店の予定がない、あるいは閉店時期がまったく決まっていないにもかかわらず、このような表示を長期間続ける行為は、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)5条2号の「有利誤認表示」にあたるおそれがあります。

有利誤認表示とは、価格やその他の取引条件について、実際よりも著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示をいいます。

期間限定の特売をうたいながら、期限後も同じ内容のセールを繰り返したり、実質的に延長したりする場合も同様です。

「長く続いていることは近所の客なら知っているはずだ」という反論は通用しません。

その表示を初めて目にする消費者が誤認する以上、有利誤認表示にあたらない理由にはならないと考えられます。

●「割引率」の表示にも要注意

──利用客が、ほかに気をつけるべき点はありますか。

割引率の表示にも注意が必要です。

「90%オフ」など、通常価格と比べて表示する場合(二重価格表示)、比較対象となる価格は、原則としてセール開始前8週間のうち過半の期間(かつ通算2週間以上)、実際にその価格で販売されていた実績が必要とされています。

実際には販売実績のない「架空の定価」を基準にしていれば、それ自体が不当表示です。

違反と認められれば、消費者庁による措置命令の対象となり、有利誤認表示については課徴金納付命令が出される可能性もあります。

また、適格消費者団体による差止請求の対象となることもあります。

●消費者契約法で契約を取り消せる可能性も

──閉店すると周知しながら、具体的な閉店予定日を知らせないまま営業を続ける行為はどうでしょうか。

評価は基本的に同じです。

閉店の予定が具体的に定まっていないのに「完全閉店」と掲げれば、消費者は「近いうちに必ず閉店する」と受け止めるでしょう。

表示と実態とのギャップが購買の判断に影響したといえる場合には、不当表示と評価される可能性があります。

さらに、「もうすぐ閉店するので今買わないと損だ」と説明され、その内容を信じて契約した場合、それが事実と異なれば、消費者契約法4条1項1号の「不実告知」として契約を取り消せる可能性があります。

不実告知は、事業者にだます意図があったかどうかは問われません。客観的に事実と異なる説明をしていれば成立し得ます。

●ポイントは「閉店の意思」と「表示が実態に合っているか」

──違法かどうかを見極めるポイントはありますか。

もっとも、実際に閉店へ向けて在庫処分を進めているものの、やむを得ない事情で閉店時期がずれ込んでいるケースまで、直ちに違法となるわけではありません。

重要なのは、閉店の意思や見込みが実際に存在するか、そして表示がその実態に見合っているかという点です。

閉店時期がまだ決まっていないのであれば、その時点での見通しを正確に伝えるべきですし、閉店日が決まったのであれば、速やかに明示することが求められます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

金田 万作
金田 万作(かなだ まんさく)弁護士 笠井・金田法律事務所
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成し集団訴訟を行った。

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