弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 犯罪・刑事事件
  3. 高校時代に「20回以上の性被害」訴え、「いじめ」認定でも残る疑問…再調査にも不信募る

Googleトップニュースでフォロー

フォローの仕方はこちら
Add as a preferred source on Google
高校時代に「20回以上の性被害」訴え、「いじめ」認定でも残る疑問…再調査にも不信募る
取材を受けるマユさん(左)と母親

高校時代に「20回以上の性被害」訴え、「いじめ」認定でも残る疑問…再調査にも不信募る

2022年、三重県四日市市の私立暁高校で、当時高校3年生だった女性(21)が、交際相手から性的被害を受けたと訴えている。この問題をめぐって、三重県が第三者委員会による再調査を進めている。

学校が設置した第三者委員会は、女性が訴えた行為の一部を「いじめ」と認定し、いじめ重大事態にあたると判断した。一方、女性の母親は、事実関係の認定や関係者への聞き取りが不十分だったとして再調査を求めてきた。

ところが、女性の母親によると、再調査が始まることは報道で初めて知り、委員の顔ぶれや調査方法についても事前に説明がなかったという。

母親は、前回の調査と同じ問題が繰り返されるおそれがあるとして、県に改善を求めている。(ライター・渋井哲也)

●公衆トイレや公園などで「20回以上被害を受けた」

2024年5月、学校が設置した第三者委員会が調査を始め、2025年6月に報告書を公表した。

報告書によると、マユさん(仮名)は2022年8月17日から11月23日にかけて、交際相手のユタカさん(仮名)から、校内や公衆トイレ、通学路、駐車場、公園などで20回以上の性的被害を受けたと訴えた。

「交際1カ月目のことでした。相手に『記念の写真を撮ろう』と言われ、夜、近くの公園へ行きました。このとき、最初の性被害に遭いました。

真っ暗な中、公園のトイレで無理やり性行為をさせられたのです。私は『嫌だ』と言ったのですが、相手はやめませんでした。

その後も被害は続きましたが、親に言う勇気がなく、卒業まで我慢すればいいと思っていました。

大学の推薦があったので、『問題を起こすと推薦がもらえなくなる。バレたら大学にも行けない』と思っていました」(マユさん)

●第三者委員会は「いじめ」認定した

母親が異変に気づいたのは、2022年の夏休みの終わりごろだった。

「娘は『私、頭がおかしくなった。何もできなくなった』と言っていました。『おかしいよ。本当に大丈夫?』と聞きましたが、娘は『大丈夫』と言うだけでした。

学校帰りにはいつもリビングで過ごしていた子が、部屋にこもるようになりました。おどおどしていて、目を見て話さなくなったんです」(母親)

第三者委員会は、性行為について、女性による拒絶や同意の有無は「認定できない」と判断した。

一方、公園や公衆トイレなど、通常、性行為がおこなわれる場所として望ましいとはいえない場所でおこなわれていたことなどから、遅くとも11月ごろにはマユさんが心理的苦痛を感じていたとして、「いじめ」と認定した。

「いじめと認定されたことはよかったのですが、時系列が違っていたり、娘が打ち明けた経緯が違っていたり、事実ではないことが書かれていました」(母親)

●報告書には「事実と異なる点」も

マユさんは母親に被害を伝えた後、欠席を繰り返した。

報告書は、欠席日数について「目安となる30日の欠席はないものの、連続して欠席している」とした。そのうえで、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたことも踏まえ、いじめがなければ不登校や心理的重大事態は発生しなかったとして、因果関係を認めた。

ただし、報告書に記載された欠席日数は「14日」で、母親はこの点も事実と異なると指摘する。

「当時、学校からは『全部、出席だったことにしておきます』と言われました。

ただ、重大事態と認定してもらうにあたって、欠席をすべて出席とされると認定されないのではないかと不安でした。その点について、一度も聞き取りはありませんでした。

欠席は欠席としてほしかったのですが、委員会はすでに解散しており、修正には応じないということでした」(母親)

また、校内でスマートフォンを使用したとしてマユさんが書いた反省文を、ユタカさんがInstagramの裏アカウントに投稿したとされる行為については、一般的に他人に知られたくない内容を公開したものだとして、いじめと認定した。

一方、2人の性行為に関する内容やLINEのやりとりのスクリーンショットを、ユタカさんが別の生徒に共有したとされる件については、裏付ける資料がないとして認定しなかった。

●被害届は受理されなかった

マユさんは2022年11月26日、警察署に被害届を出そうとしたという。

母親によると、当時対応した女性警察官から被害内容を詳しく聞かれることはなく、地図で場所を確認された。

また、マユさんが「嫌だ」と伝えたと説明したものの、手で抵抗するジェスチャーをしておらず、大声で「い・や・だ」と言っていないとして、警察官から「それなら同意ですね」と言われたという。

翌日も被害届を出したいと申し出たが、受理されなかったとしている。

報告書によると、11月29日、警察署から学校に電話があり、マユさんの両親から申し出があったことを伝え、高校で対応するよう求めたとされる。

母親によると、被害届は現在も受理されていないという。

「被害届は4〜5回、出したいと申し出ましたが、受理されませんでした。なぜ初動で受理せず、捜査をしなかったのでしょうか。

しかも報告書には、11月25日に交際相手であるユタカとその父親が学校へ事情を説明しに行ったと書かれています。

このことは学校と警察に開示請求をしましたが、記録は出てきませんでした。何も残っていないというのです」(母親)

●前回の調査では委員構成にも疑問

マユさんの両親は、ユタカさんや、LINEのスクショを受け取ったとされる元生徒への聞き取りが十分ではなかったことなどとして、県へ再調査を求めた。

両親は、前回の調査では、委員の構成にも疑問があったとしている。

「調査委員は大学教授や弁護士、公認心理師でしたが、顔合わせもないまま聞き取りが始まろうとしていました。

しかも、交際相手の親と同僚と思われる公認心理師や、高校の関係者である弁護士もいました。そのため、委員の入れ替えを求めました」(母親)

マユさんへの聞き取りについても、「この人なら話せる」と思える委員との事前面会を求めたが、実現しなかったという。

「娘に聞き取りをするなら、まず面会させてほしいと伝えました。しかし、その委員が初めて姿を見せたのは、報告書を受け取りに行った日でした。最終的には押し切られてしまいました」(母親)

県は6月30日、第三者委員会による再調査を開始した。

しかし、母親は、その事実を記者から初めて知らされたという。

「再調査決定の理由も聞かされていません。スケジュールや聞き取りの方法などについても連絡はなく、『第1回委員会を開催します』という連絡だけでした」(母親)

●両親は県に抗議文を出した

両親は6月29日、調査委員の第三者性や公平中立性、利益相反の確認方法が不明だとして、県に抗議文書を提出した。

一見勝之知事は7月2日の定例会見で「なかなか連絡がつかなかったということで、その後、郵送で連絡をしたところ、回答があった。誤解は解けるんじゃないか」と述べた。

これに対し、母親は「連絡がつかなかったことを問題にしているのではなく、説明がないと言っているだけです」と話す。

その後、県からは、報道が先行したことを詫びる回答が届いた。

抗議文書で指摘した委員の第三者性については、「関係者との利害関係が確認されるなど、第三者性に疑義が判明した場合は、委員から除外するなど適切な対応をおこないます」と説明されたという。

一方、県が当初の文書で示していた、7月中の委員長との打ち合わせについては、その後の回答に記載がなかった。

両親は、調査の進め方や委員の選任について、十分な説明をしたうえで再調査を進めるよう求めている。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事をシェアする

Googleトップニュースでフォロー

フォローの仕方はこちら
Add as a preferred source on Google

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では協力ライターと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

協力ライター募集詳細 情報提供はこちら