のど薬で有名な「龍角散」(東京都千代田区)の元法務担当部長の50代女性が、社長によるセクハラ行為の調査をしたところ、解雇されたのは不当として、解雇の無効を求めた訴訟が12月2日、東京地裁で和解した。会社側が解決金として6000万円などを支払う内容。
女性の代理人弁護士は「尋問等を踏まえ、裁判所から解雇無効を前提として、解決金の支払による和解の提案がなされ、最終的に、会社が実質的に原告の定年までの給与相当の解決金を支払う形で退職和解が成立した。原告の解雇無効の主張が認められる形になったことを弁護団としては肯定的に評価している」と話した。
龍角散は「当社としては、訴訟において、原告により被害者だとされている女性従業員が、 法廷にて宣誓をした上、証人として証言し、社長によるセクハラはなかったと明確に述べていたこと、及び、社内ヒアリングの前に原告から複数回の接触を受けセクハラだと言うよう求められたこと等を証言したこと、2018年12月には当社と利害関係を有しない大手法律事務所に依頼して調査を行い、その後セクハラの事実は認められなかったとの報告を受けていることなどから、当社の主張は従前より一貫して変わっておりませんが、諸般を考慮し今般の和解に応じました」とコメントした。
訴状によると、女性は2018年12月、忘年会で社長が女性従業員にセクハラ行為をしていたと報告を受け調査を開始。2019年3月、被害を受けたとされる女性従業員の認識や意向とは異なる申告をさせたなどとして、解雇された。会社側は「セクハラの事実は認められなかった」と争う姿勢を示していた。