金曜日に仕事を早く切り上げて、買い物や旅行などの余暇を楽しむ。政府や経済界で、そんな「プレミアムフライデー」構想が検討されていることが報じられた。
産経新聞の報道によると、「プレミアムフライデー」では、月の最後の金曜日は15時に退社する。一方で、流通業界や旅行業界、外食産業が連動してイベントを開催。旅行や買い物を促し、個人消費を喚起する狙いがあるという。
昨年は国家公務員を対象として行われた、始業時間を早めて夕方に仕事を終える試み「ゆう活」が話題となったが、労働者にとって、「プレミアムフライデー」はどんなメリット、デメリットがあるのだろか。神内伸浩弁護士に聞いた。
●実施することで、得をするのは誰なのか?
「長時間労働は一般的に労働効率が悪いだけでなく、メンタルヘルス不調を引き起こす等、労働者にとっても好ましい就業形態ではありません。企業側としても割増賃金の支払いが義務付けられ、コストもかさみます。
しかし、一方で、残業をして遅くまで会社に残っていることが『美徳』とされる文化が根付いていたり、そのような考え方をしている人たちが現にいることもまた事実です。
そのような職場の雰囲気を急に変えようと思ってもなかなか意識改革を実現することは難しいでしょう。
そんなときにプレミアムフライデーを導入することは、一定の効果が期待できると思われます。
すなわち、労働者にとっても『上司や同僚に気兼ねなく早く退社をすることができる』というメリットがあります。
また、企業側にとっても仕事にメリハリを付け、ダラダラ残業や付き合い残業のような無意味な残業を削減するきっかけ作りになるものと思われます」
神内弁護士はこのように述べる。もしプレミアムフライデーが導入されることになったら、労働者にとってメリットの方が大きいということだろうか。
「良いことばかりかというと、決してそうとも言い切れません。
月に1度、早く帰宅できる日ができたとしても、その分どこかでしわ寄せが来るのであれば、結局働く時間は変わりません。
むしろ、他の日に残業をすることで帳尻合わせをすることになるのであれば、かえってその分疲労が増す可能性もあります。
『本来なら明日定時まで仕事をすれば終わるが、明日はプレミアムフライデーなので早く帰宅しなければならない。やむなく今日残業をして帰ろう』なんてことになるとしたら、果たして企業と労働者、両者にとってメリットのある制度と言えるのか、疑問に思えてしまいます。
プレミアムフライデーを実施することで果たして『誰が得をするのか』、企業も労働者もきちんと考えて、そのうえでメリットを実現できるようであれば、活用されることをお薦めします」