養育費はいつまで(何歳まで)払う?18歳成人や大学進学の影響を解説

養育費は、子どものために欠かせないお金です。だからこそ「いつまで払うのか」「何歳まで支払う義務があるのか」は、抱えている方が少なくない疑問です。とくに2022年の成年年齢引き下げによって、「18歳で支払いが終わるのではないか」と気になる方も増えています。

養育費の支払い期間は、原則として子どもが経済的に自立するまでとされ、一般的には20歳が一つの目安です。ただし、大学進学や就職、再婚など、それぞれの家庭の事情によって期間が延びたり短くなったりすることがあります。

この記事では、支払い期間の原則と18歳成人引き下げの影響を整理したうえで、大学進学による延長の条件や、後から期間を変更できるケースまでをわかりやすく解説します。ご自身の状況が「過去の取り決め」なのか「これからの取り決め」なのかを見分けながら、読み進めてみてください。

目次

  1. 養育費の支払い期間の原則|いつまで(何歳まで)支払う?
  2. 「18歳成人」への引き下げで養育費の期間はどうなる?
  3. 子どもが「大学進学」した場合、卒業まで延長できる?
  4. 決めた養育費の支払い期間が「後から短縮・免除」されることもある
  5. 子どもに障害や病気がある場合の養育費はいつまで?
  6. まとめ:支払い期間で揉めた場合は弁護士に相談を
  7. 養育費の支払い期間に関するよくある質問(FAQ)

養育費の支払い期間の原則|いつまで(何歳まで)支払う?

養育費の支払い期間を状況別に解説した図 養育費の支払い期間は、原則として子どもが「経済的に自立するまで」とされています。一般的には20歳が目安となりますが、その根拠を理解しておくと、例外のケースも判断しやすくなります。

養育費は「子供が経済的に自立するまで(原則20歳)」が基本

養育費の支払い義務は、まだ経済的に自立していない子ども、いわゆる「未成熟子」に対する扶養義務にもとづくものです。 未成熟子とは、年齢だけで決まるものではなく、自分の収入で生活できるだけの経済力がない子どもを指し、「未成年者」とは異なる点は、勘違いしやすいので注意が必要です。 この考え方から、養育費は子どもが自立するまで支払うのが原則とされています。 成年年齢は18歳に引き下げられましたが、高校卒業後も進学などで自立していない子が多い実態から、実務では自立の目安として20歳や大学卒業までを終期とすることが多くなっています。親としての扶養義務は、離婚して離れて暮らすようになっても消えるものではありません。 なお、この扶養義務は親自身が第一次的に負うものです。たとえば祖父母などの親族から援助を受けている場合でも、それはあくまで補充的なものにすぎません。親族の援助があることを理由に、養育費の支払いを拒むことは難しいと考えられています。

高校卒業後すぐに「就職」した場合は18歳で終了するケースも

一方で、子どもが高校卒業後(18歳)にすぐ就職し、自分の収入で生活できるようになった場合は事情が変わります。経済的に自立した時点で「未成熟子」ではなくなるため、その時点で養育費の支払いが終了するケースがあります。 つまり、養育費の終期は「年齢」だけで一律に決まるわけではなく、子どもが自立したかどうかという実態も踏まえて判断されます。このように原則と例外の両面を押さえておくことが大切です。

「18歳成人」への引き下げで養育費の期間はどうなる?

18歳成人への引き下げと養育費の支払い期間の関係について示した図 2022年4月の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。この変更を受けて、「養育費の支払いも18歳で終わるのではないか」と考える方もいます。 しかし、結論から言えば、支払い期間が自動的に「18歳まで」になるわけではありません。

18歳成人の法改正は養育費の期間に影響しない【法務省の見解】

法務省は、成年年齢の引き下げが養育費の支払い期間に直ちに影響するものではない、という見解を示しています(※)。 養育費はあくまで「未成熟子」に対する扶養義務にもとづくものであり、成年に達したからといって、直ちに支払い義務がなくなるわけではないからです。 18歳になっても、多くの子どもは高校生であったり、進学して自立していなかったりします。そのため、法改正後も「子どもが経済的に自立するまで」という基本的な考え方は維持されています。18歳を迎えたという理由だけで、支払い期間が終わると決まるわけではありません。 なお、今後新たに養育費の取決めをする場合は、「成年に達するまで」といった曖昧な表現ではなく、「22歳に達した後の3月まで」など具体的な終期を明記することが、法務省の資料でも推奨されています。 ※出典:法務省『民法(成年年齢関係)改正Q&A:Q6

過去の取り決めで「成人まで」としている場合は原則20歳まで

問題になりやすいのが、離婚時の取り決めで支払い期間を「成人まで」と書いていたケースです。この場合、いつを「成人」とみなすかが争点になります。 2022年3月以前に「成人まで」と取り決めた場合、その取り決めは当時の成年年齢である20歳を前提にしていたと考えるのが自然です。したがって、法改正後も20歳までと解釈されるのが一般的です。法改正を理由に18歳で打ち切ることは、原則として認められにくいと考えられるでしょう。 なお、これから取り決める場合は、こうした解釈のトラブルを防ぐため、「成人まで」といったあいまいな表現は避けるべきです。

  • 20歳に達する月まで
  • 22歳に達した後の最初の3月まで

など、年齢や時期を具体的に記載しておくことが重要です。 関連する相談が寄せられています。

離婚についての準備は

相談者の疑問 1年の家庭内別居の末、離婚を決意しました。初めは養育費代わりに今の家に子供が成人するまで住んでよいとの事で合意していたのに、>> 質問の続きを見る

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>> 回答の続きを見る

子どもが「大学進学」した場合、卒業まで延長できる?

子どもが大学に進学した場合、一定の条件を満たせば、大学を卒業する「22歳の3月まで」養育費の支払い期間を延長できることがあります。 もっとも多い例外ケースですので、認められやすい条件と、後から変更する方法を確認しておきましょう。

「22歳の3月まで」の期間延長が認められやすい条件

原則は20歳までですが、当事者どうしの合意があれば22歳まで延長することが可能です。 問題になるのは、相手が合意しない場合です。合意がなくても、次のような条件を満たすと、調停などで22歳までの延長が認められやすくなる傾向があります。

  • 親自身の学歴が大学卒であるなど、大学進学が自然に見込まれる家庭環境であること
  • 離婚時に、子どもの大学進学を前提とした話し合いがあったこと
  • 支払う側の収入に、大学進学を支えるだけの十分な余裕があること
  • 子どもが実際に大学へ進学し、学業を続けていること


これらはあくまで判断材料であり、条件を満たせば必ず延長が認められるわけではありません。なお、受け取る側の資産・収入や奨学金の利用可能性も総合的に考慮され、私立大学への同意がない場合は、国立大学の学費相当額を目安に判断されることもあります。
なお、大学の学費そのものは、毎月の養育費とは別に「特別費用」として扱い、双方の収入に応じて按分して負担を取り決めるのが一般的です。毎月の養育費が生活費、進学費用は別途協議、という整理を知っておくと話し合いがスムーズになります。

すでに決まっている養育費の期間を「後から延長」できるか

過去の取り決めで「20歳まで」としていた場合でも、あきらめる必要はありません。想定していなかった大学進学など「事情の変更」があれば、後から期間延長の話し合いや調停を申し立てられる可能性があります。 ただし、後からの変更は相手の同意が得られないことも多く、調停や審判といった手続きが必要になる場合があります。延長の合意で揉めてしまったときや、相手が話し合いに応じてくれない場合は、一度弁護士に相談して見通しを聞いておくのも有効な選択肢です。 みんなの法律相談には、「大学進学する場合の養育費の支払い期間」に関する相談が寄せられています。

離婚時の養育費、財産分与の考え方について

相談者の疑問 離婚調停中です。財産分与、養育費について質問です。>> 質問の続きを見る

森田 英樹の写真 弁護士の回答森田 英樹弁護士 婚姻費用を月額20万円と決まったのであれば、別居(1月)から4月までの分は80万円となり、>> 回答の続きを見る

決めた養育費の支払い期間が「後から短縮・免除」されることもある

養育費の期間は、延長される場合だけでなく、後から短くなったり打ち切られたりすることもあります。きっかけとなるのは、想定外の就職や再婚といった「事情の変更」です。

期間の短縮や免除につながる「事情の変更」の代表例

短縮や免除につながる「事情の変更」としては、次のようなケースが代表的です。

  • 子どもが大学進学をやめて就職し、経済的に自立した場合
  • 受け取る側が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合
  • 支払う側の収入が大きく減少するなど、当初の前提が変わった場合


たとえば、大学進学を前提に22歳までと取り決めていたものの、子どもが進学をやめて就職し、経済的に自立したケースでは、子どもは「未成熟子」ではなくなるため、支払う側から期間の短縮や終了を求められることがあります。
ただし、事情の変更があったかどうかは、個別の状況によって判断されます。取り決めと実態がずれてきたと感じたときは、当事者間で改めて話し合うことが出発点になります。

相手(受け取る側)が再婚し、子供と再婚相手が養子縁組した場合

受け取る側が再婚し、その再婚相手と子どもが「養子縁組」をした場合は、支払い期間に大きく影響します。養子縁組をすると、再婚相手が第一次的な扶養義務者となるため、実の親が支払う養育費は短縮・免除される可能性が高くなります。 ただし、相手が養子縁組をすれば養育費が当然にゼロになると決まるわけではありません。実際に減額・免除が認められるかどうかは、再婚相手の収入なども踏まえ、当事者の話し合いや調停で個別に判断されます。 逆に養子縁組しなくても、再婚相手が経済的に裕福であって、子どもを事実上監護している場合は、そうした事情を考慮して減額・免除が認められる可能性もあります。

再婚後に減額・免除が認められるかどうかの判断材料は、以下で解説しています。

関連記事養育費は再婚で減額・免除される?養子縁組の影響と隠す相手への対処 →

みんなの法律相談には、「養育費を拒否するために離縁を要求する夫」に関する相談が寄せられています。

離婚についての手続き

相談者の疑問 離婚について必要な手続きと必要な書面が知りたいです。>> 質問の続きを見る

吉田 雄大の写真 弁護士の回答吉田 雄大弁護士 合意内容のうち年金分割は、ご結婚時期が平成20年4月1日より前の場合、>> 回答の続きを見る

子どもに障害や病気がある場合の養育費はいつまで?

子どもに障害や病気があるケースでは、支払い期間が原則より長くなることがあります。

20歳を超えても支払いが続く可能性がある

子どもに障害や重い病気があり、成人しても経済的な自立が難しい場合には、20歳を超えても養育費の支払いが認められるケースがあります。 年齢に関わらず、経済的に自立できない状態であれば「未成熟子」とみなされる可能性があるためです。 具体的にいつまで支払うかは、障害の程度や親双方の収入などを考慮して、個別に判断されます。一律の基準があるわけではないため、状況に応じた取り決めが必要になります。

まとめ:支払い期間で揉めた場合は弁護士に相談を

養育費の支払い期間は「子どもが自立するまで(目安は20歳)」が原則で、成年年齢が18歳に引き下げられても、18歳で一律に終わるわけではありません。「もう成人したから」と自己判断で支払いを止めると、後からトラブルになることもあります。 養育費の取り決めが公正証書や調停、審判等によって定められている場合には、それが正式に変更されるまでは従来の取り決めが法的に有効と扱われることになるため、場合によっては給与や財産の差し押さえを受けてしまう可能性もあります。支払いを止める前に、専門家に相談をすることが重要です。 これから取り決める場合は、将来の解釈で揉めないよう「22歳に達した後の最初の3月まで」などと年齢で具体的に記載し、公正証書に残しておくことが大切です。 期間の延長や解釈をめぐって当事者どうしで合意が難しい場合は、適正な期間を取り決めるための一つの手段として、弁護士への相談も選択肢として検討してみてください。

養育費の支払い期間に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 養育費は20歳の誕生日までですか?それとも20歳になった年度末までですか?

離婚時の取り決め方によりますが、実務上は「20歳に達した月まで(誕生月まで)」とするのが一般的です。ただし、「20歳に達した後の最初の3月まで」と、高校や大学卒業のタイミングに合わせて取り決めることも多くあります。トラブルを防ぐためには、このように月まで明確に指定しておくことが推奨されます。トラブルを防ぐためには、このように月まで明確に指定しておくことが推奨されます。

Q2. 養育費は「いつから」もらえる?過去の分まで遡って請求できる?

原則として「相手に請求した月」から支払われるのが実務上のルールで、調停の申立てや内容証明を送った月が起点になります。

それ以前の過去分にさかのぼって請求するのは原則として難しいため、早めの請求が重要です。なお、2026年4月1日以降に、養育費を取り決めずに協議離婚した場合は、新設された「法定養育費」により、離婚時にさかのぼって一定額を請求できます。

Q3. 養育費の「金額の相場」はどこで確認できますか?

裁判所が公表している「養育費算定表」で、目安となる金額を確認できます。夫婦双方の年収と、子どもの人数・年齢を当てはめることで、毎月の金額の目安がわかります。

Q4. 2026年導入の「共同親権」によって、養育費の期間は変わりますか?

共同親権になっても、支払い期間の基本的な考え方は変わりません。子どもが経済的に自立するまで支えるという原則は同じで、話し合いで「大学卒業(22歳)まで」などと定めることもできます。ただし、取り決めをせずに離婚した場合に請求できる「法定養育費」は、目安が「子が18歳になるまで」とされています。そのため、18歳以降も養育費が必要な場合は、事前の取り決めが重要です。

この記事の監修者
今西 隆彦弁護士のプロフィール画像
今西法律事務所
今西 隆彦 弁護士
(神奈川県弁護士会)
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この記事は、公開日時点(2026年08月12日)の情報や法律に基づいています。

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