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加熱が不十分な「鶏チャーシュー」で食中毒 店に治療費や慰謝料を請求できるのか
画像はイメージです(kikisorasido / PIXTA)

加熱が不十分な「鶏チャーシュー」で食中毒 店に治療費や慰謝料を請求できるのか

加熱が不十分な鶏チャーシューが載ったラーメンを食べた数時間後、39度の発熱をしたというツイートが話題となっている。

投稿者は、飲食店で食中毒が出たことを知らせる新聞記事を合わせてツイート。記事では、愛媛県松山市の飲食店で6月9日〜20日にかけて、19人に下痢や腹痛、発熱などの症状が出て、便からカンピロバクターが検出されたと書かれている。

厚生労働省のウェブサイトによれば、カンピロバクター菌は、腹痛や発熱、嘔気、嘔吐、倦怠感といった症状を引き起こす細菌だ。1週間程度で治癒することが多いが、子どもや高齢者など抵抗力の弱い場合は、重症化する可能性があるという。

もし仮に、投稿者の発熱が食中毒によるものだった場合、店に治療費や慰謝料などを請求することはできるのだろうか。石崎冬貴弁護士に聞いた。

●休業補償や、慰謝料も請求できる

——今回、報じられた店については保健所が食中毒と断定しています。店の料理が原因で体調を崩した場合、治療費や慰謝料は支払ってもらえますか。

店の料理が原因だと証明できれば、実際にかかった治療費や入院費などはもちろん、食中毒が原因で働けなかった期間の休業補償や、慰謝料も請求できます。

さらに、重篤な症状が出て、後遺障害などが残った場合は、今後働いて得られたはずの逸失利益についても、請求できる場合があります。

ただし、実際に請求するとなれば、費用や時間をかけて法的手続きをとるだけの意味があるか、店側に支払い能力があるかなども考えなければなりません。

特に、症状が軽微な場合には、法的手続をとる前に、店で食事したことを示すレシートや、症状や食中毒になったことを示す診断書などを示しつつ、店側と話してみたほうがよいのではないでしょうか。

プロフィール

石崎 冬貴
石崎 冬貴(いしざき ふゆき)弁護士 法律事務所フードロイヤーズ
東京弁護士会所属。一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。自身でも焼肉店(新丸子「ホルモンマニア」)を経営しながら、飲食業界の法律問題を専門的に取り扱い、食品業界や飲食店を中心に顧問業務を行っている。著書に「なぜ、一年で飲食店はつぶれるのか」「飲食店の危機管理【対策マニュアル】BOOK」(いずれも旭屋出版)「飲食店経営のトラブル相談Q&A―基礎知識から具体的解決策まで」(民事法研究会)などがある。

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