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セブン「新作いちご飲料」のラベルが物議「果肉と思ったら絵」 法的問題は?
練乳いちごミルクのカップ(編集部撮影)

セブン「新作いちご飲料」のラベルが物議「果肉と思ったら絵」 法的問題は?

セブンイレブンの新商品「練乳いちごミルク タピオカ入り」がネットでちょっとした物議をかもしている。

問題になっているのは味ではなく、そのパッケージ。透明カップに描かれた赤い模様が、いちごの果肉に見えるというのだ。

結果として、実際の商品よりも多くのいちごが入っているように見え、消費者の誤解を誘っているのではないかとネットで疑われている。

パッケージは商品を手にとるときの大事な要素。実物よりもいくらか美化されていることも珍しくない。こうしたパッケージに問題はないのだろうか、消費者問題にくわしい金田万作弁護士に聞いた。

●「実際のものよりも優良」に見せかけるとリスク?

ーー景品表示法の「優良誤認」に当たるのでしょうか?

優良誤認とは景表法5条1号で次のように定義されています。

「商品の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択 を阻害するおそれがあると認められるもの」

まず、本件のようなパッケージの柄が「表示」にあたるかですが、「顧客を誘引するための手段」としての「容器又は包装による広告その他の表示」も内閣総理大臣によって指定されているので(不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件)、「表示」にあたります。

次に、「著しく優良であると示す」ものであるかですが、一般消費者を基準に、多くのいちごが入っているように見せることは「優良であると示す」ものです。

「著しく」とは、広告には一定程度の誇張、誇大が含まれていることが一般的に認められていることを前提に、一般消費者にとって、当該表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合をいいます。

そもそも本件のようなパッケージによる誇張が社会的に許容されているかは疑問が残るところですが、実際に食べた人がパッケージによる柄だと知ったとしてもまた食べたいと思うようなものであれば、社会的に許容された限度を超えて選択に影響を及ぼしているとまでは言えず、「著しく」の要件を満たさないと考えます。

●パッケージの文章も対象になる

ーー一般論として商品のパッケージが優良誤認に当たるとしたら、どのようなものが想定されるでしょうか?

一般論として、パッケージが優良誤認に当たるような場合は、商品の内容とパッケージが与える商品の品質等の内容がかけ離れていて、その乖離を知っていれば一般消費者が買わないような商品が想定されます。

なお、個別の表示のみからではなく、表示内容全体から一般消費者が受けるイメージが問題となるので、パッケージ以外の文章等を含めて受ける印象・認識が基準となります。

●「紛らわしいけれど、ちゃんと果肉感はある」

なお、タピオカといちごドリンクが好きな女性記者(40代)は、「確かに紛らわしいけれど、実物を手に持ってみたら模様だと分かると思います」。

「プルプルとした食感。果肉感もあっていちごドリンクの期待は裏切らない。リピートすると思います」と話している。

もとよりパッケージで優良誤認が認められることはあまりないと思われるが、今回のセブンのパッケージも法的には許容範囲内と考えられそうだ。

プロフィール

金田 万作
金田 万作(かなだ まんさく)弁護士 笠井・金田法律事務所
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成している。

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