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「なんであんな場所に行ったのか」辺野古転覆事故、遺族が問う学校の“刑事責任” 
武石知華さんの遺族代理人の唐澤英城弁護士(2026年7月30日/東京・霞が関の司法記者クラブ/弁護士ドットコム)

「なんであんな場所に行ったのか」辺野古転覆事故、遺族が問う学校の“刑事責任” 

沖縄県名護市の辺野古沖で2026年3月16日、同志社国際高校の研修旅行中の生徒らが乗った船2隻が転覆し、2年生の武石知華さんと船長の金井創さんが死亡した事故で、武石さんの遺族が学校側と船を運航した団体側の計11人を業務上過失致死傷容疑で刑事告訴した。7月30日の記者会見で明らかにした。

父親は会見で、学校には乗船を止められる機会が「少なくとも4層にわたってあった」と繰り返した。下見をしてやめる。やめないなら安全の打ち合わせをする。十分な計画を立てる。当日は教員が同乗して結果を正確に報告する。そのうえで、こう語った。

「学校も生徒の船長なのではないでしょうか」

会見では、事故当日に海上で撮影された映像も上映された。

現場の海にいなかった学校の関係者に、刑事責任を問えるのか。記者から立件のハードルを問われた遺族代理人で元検事の唐澤英城弁護士が今回の事故の「本質」を答える形でいくつかのポイントから説明した。

●「修学旅行生が船に乗る、海に出る。ここが出発点」

「ポイントは、分けると6つぐらいになるかと思っています。1つ目は、修学旅行生が船に乗る、海に出る。ここが出発点ではないか」

唐澤弁護士が引き合いに出したのは、過去の海難事故だ。修学旅行生が船の事故に遭う例は古くからあり、1955年の紫雲丸事故では多くの修学旅行生が犠牲になった。2020年の坂出市沖旅客船沈没事故でも旅客船が沈没し、修学旅行生が巻き込まれている。

「海は陸とは違って、移動について危険が非常に伴うもので、1回何か起きたら助かりにくいところがあります。類型的には危険性が高いという前提がある」

●「船長自身が、この海域は危険だと語っていた」

「2つ目は、現場海域の危険性です。何よりもまず、今日ビデオで見ていただいた状況、これがすべてを物語っているかと思っています。

『不屈』の船長であった金井氏は、この海域が危険であったということをご自身の著書にも書いておられますし、学校の講演会でも発言をしているところです。当然、その学校の講演会には生徒だけではなく、教師も出席していたということもあります」

●抗議船の性質

「3番目は抗議船ということ。抗議に意味があるのではなくて、そこで使われる船というものはどういう船なのか、ということ。これは非常に重要かなと思っています。

あくまで抗議に使う船ですから、最低限の装備とか準備しかありません。1番目に申し上げたように、修学旅行生を乗せるような船であったのか、ということは厳しく問われなければならないのではないかと思っています。

乗るのは抗議をする人で、それは自分で、危険を顧みず抗議をしたいという自分の意思で、その危険を引き受けています。しかし生徒はそうではありません。何も知らないのです。そこは重要かなと思っています」

唐澤弁護士が番号を振ったのは、ここまでの3つだった。説明はこのあと、事故が起きた場所、計画、そして事件の本質へと続く。冒頭に挙げた「6つ」の、残りの3つにあたると考えられそうだ。

「今回の事故が発生した場所は、最後にご覧いただいた通り、非常に波の高いところです。なんであんな場所に行ったのか、行くのか、それはどういうことなのかということ」

●「大事なのは計画」

「ここで大事なのは、やはり計画だと思います。これは文科省の報告書にも指摘されていますが、修学旅行を行う場合には計画をきちんと立てなければならない、ということは、もう紫雲丸の事故のときから分かっているところだと私は思っています。

陸上と同じように、海上でもルートというものがあるはずです。そして、そのルートにどのような速度で、どのぐらいの時間をかけて進むのか。これこそまさに計画です。これをきちんと立てなければならない立場に、学校側は絶対にあると考えています。

かつ、何年も生徒を乗せているこの船の側、基地反対協議会の側も、同様に生徒を乗せるんです。これは抗議をしたい人を乗せるわけではなくて、生徒を乗せると自分で分かって乗せているわけですから、同じように計画を立てなければなりません。

では計画をどうやって立てるのかと言えば、学校と乗せる側が話し合いをしながら立てていくはずです。そういう当然のことをしていれば、『これはやっぱりやめておこうかな』となるはずかなと思うんですけれども、やめないならばすべきことは、本当にたくさんあったはず。普通に計画を立てよう、下見をしよう、話し合いをしようということがあれば、この事故は防げていたはずではないか」

●「船の人だけの責任を考えていていいのか」

最後に唐澤弁護士は、学校と協議会側がともに「責任」を尽くしていれば、悲惨な事故が起きなかったと指摘した。

「このような過失の事件はいろいろ難しいと言われるんですけれども、何が事件の本質なのかということを考えるのが一番大事だと思っています。ご覧いただいた映像とか、これまでの経緯を考えたときに、今私が申し上げたことが本質ではないか。

とすると、船の人だけの責任を考えていていいのか。まさにお父様がおっしゃった通り、生徒の船長である学校も1人の船長なわけですから、その学校側と、それからヘリ基地反対協議会の側、ともに話し合いをし、計画を立て、準備をする。そういう責任があって、それが尽くされていれば、この事件は起きなかったのではないか」

●学校法人と協議会は「捜査に協力」

業務上過失致死傷罪(刑法211条)が成立するには、結果を予見できたこと、結果を避けられたこと、それを踏まえた注意義務に違反したこと、そして過失と結果とのつながりが必要とされる。唐澤弁護士の説明は、この順番をなぞっている。

学校法人同志社は7月28日、海上保安庁の家宅捜索を受けたことを公表し、「厳粛に受け止め、当局による要請に全面的に協力してまいります」とコメントした。ヘリ基地反対協議会も同日付の文書で「海上保安庁による捜査・原因究明に対し、真摯に協力してまいります」と表明している。

また、7月31日には学校側の第三者による特別調査委員が、学校法人の安全配慮義務違反があると結論づけた報告書を公表した。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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