とんかつチェーン「松のや」の公式Xアカウントが7月29日に告知した「ママ応援企画」が、投稿の翌日に「夏休み企画」へと内容変更された。
当初は割引クーポンの対象を「15歳以下の子どもと母親」に限っていたが、対象を母親に絞ったことが注目され、疑問視する声が相次ぎ、運営元の松屋フーズホールディングスは「配慮が足りない部分があった」として対象をすべての利用者に広げた。
一方で、投稿には企画の変更を惜しむ声や、運営を擁護する声も多く寄せられている。同社は弁護士ドットコムニュースの取材に、企画の出発点は「物価高のなかでの夏休みの食事の負担」だったと説明した。
●一夜での方針転換
発端は7月29日の投稿。「松のや」公式アカウントは「ママ応援企画その1」として、15歳以下の子どもと母親が使える「お子さまワンコインクーポン」を、続く「その2」ではテイクアウト限定の「惣菜フェアクーポン」を告知した。9月2日までの期間を予定し、「ちなみにパパ応援企画も考え中です」とも添えられていた。
それらの投稿はいずれも大きく拡散し、さまざまな意見が集まった。
同日中に同アカウントは「【ママ企画のことに関しまして】」と題した投稿で、「皆さまのコメントを読んで、『たしかにその通りだな』と感じました。配慮が足りず、申し訳ありません」と表明。
翌30日、「ママ応援企画」は「夏休み企画」に改められ、対象は「どなたでもご利用できます」となった。あわせて、終了時期を「未定」としたうえで、準備した原料がなくなり次第終了する方針も示された。
●「最初から夏休み企画と書けば」「謝らないでほしい」
投稿に寄せられた声は、批判と擁護の双方にわたる。
当初の告知には「パパ・ママで分けずに最初から夏休み応援企画とだけ書いとけばいいのに」「松屋グループは主夫の方は応援しないという方針で宜しいでしょうか?」といった疑問が並んだ。
「『ご飯の準備はママがするもの』って設定はかなり炎上しやすいネタですよね…」と、企画の前提に触れる指摘もあった。
公式の投稿ではパパ応援企画への言及もあったが、その点は届かないまま、炎上したところもありそうだ。
また、客の属性をどうやって確認すればよいのかといった、店舗のオペレーションを心配する声も目立った。
一方、お詫びの投稿以前から、運営を気づかうコメントが数多く寄せられている。
「謝らないで下さい とんかつをこの値段で食べれるお店は、近隣ではありません」「ママと子供だけに向けたサービス、素敵な企画です」
企画変更そのものを惜しむ声も少なくない。
●「今回はママ限定とした」理由と、円安前に契約した原料
松屋フーズホールディングスは弁護士ドットコムニュースの取材に、メールで回答した。
「弊社の表現により多くの方にご心配とご不快な思いをさせてしまいましたことをお詫び申し上げます。皆さまからの貴重なご意見を真摯に受け止めており、この点、配慮が足りてなかったと考えております」
企画の出発点は、物価高のなかで夏休みの食事の準備に追われる家庭の負担を軽くすることにあったという。
おかずだけの惣菜パックを最安350円から用意し、昼食や夕食をつくる余裕がないときには店内で食べてもらえるよう、税込500円のロースかつ定食を中心とした低価格メニューも組み合わせた。
「お昼ごはん、夜ごはんが手間の場合は当店でお子様にお腹いっぱいお召しあがりいただけるよう、『最安税込500円ロースかつ定食を中心に格安のメニュー』もご提案させていただきました」
対象を母親に限ったのは、この価格で出せる数に限りがあったためだと説明する。
「この価格でのご提供には当社も数に限りがありましたので、今回はママ限定とし、今後パパ応援企画も検討していると発信していた次第です」
●「真摯に受け止める」
寄せられた声については「賛否両論」だとしたうえで、件数や傾向の公表は控えるとした。社内でどのようなやりとりを経て「たしかにその通りだな」との方針転換に至ったのかについても、寄せられた意見を真摯に受け止めている、との回答にとどめている。
数量の制約については、企画のために準備した原料は「まだ今の為替になる前の契約のもの」で、対象を全利用者に広げたことにより「終了時期はかなり早まる見込み」だという。円安が進む前に確保した分量が、そのまま企画の上限になっている形だ。
同社は、夏休みいっぱい使えると考えていた利用者に向けて、次のように結んだ。
「夏休み終了まで利用できると期待されていたお客様には大変心苦しく考えておりますが、今後も、お客様の期待に応えられる企画を発信して参ります」