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「副反応で休まれるとキツい」コンビニ職域接種、素直に喜べないオーナーも
コンビニ大手3社

「副反応で休まれるとキツい」コンビニ職域接種、素直に喜べないオーナーも

自治体の大規模接種と並行して進む、新型コロナウイルスワクチンの職域接種。「職域」といっても、「企業単独」以外も認められている。たとえば、下請け企業や取引先を含めた形などだ。

こうした枠組みを使い、フランチャイズ(FC)の代表的な業態であるコンビニの大手3社でも、この7月から加盟店を含めた職域接種がスタートする。

ただし、その規模や店舗を巡回する本部社員の接種などについて、方向性が微妙に分かれているようだ。接種を受ける加盟店側の反応も一様ではない。(編集部・園田昌也)

●セブンは約7万人に実施

業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(従業員:約9000人、店舗:約2万1000店)は、全国で約7万人の接種を予定しているという。

本部社員のほか、加盟店オーナーや履行補助者(オーナーの配偶者がなることが多い)らを中心に接種するという。アルバイトなど非正規雇用のスタッフも一部対象になる。

ただし、実施の目途が立っていないエリアもあり、自治体の接種が先行するケースもあるとみられる。

●ファミマもバイト込み、ローソンは本部社員を対象外に

業界2位のファミリーマート(従業員:約1万3000人(連結)、店舗:約1万6000店)は、グループを含めた社員と加盟店関係者など、あわせて約1万5000人を対象とする。アルバイト店員も含まれる。

一方、業界3位のローソン(従業員:約1万人(連結)、店舗:約1万5000店)は、現段階での本部社員の接種は控え、首都圏(1都3県)の加盟店オーナーや店長、スタッフら約3000人を対象に実施する。

上位2チェーンに比べて少なく見えるが、実施ノウハウをため、自治体接種の進行具合を見ながら、名古屋・大阪での実施も検討する予定だという。

職域接種では、一会場あたり原則1000人以上を集めることが求められており、出店エリアの偏りや感染リスクの高さなどもあって、どうしても大都市圏が接種の中心になりがちなようだ。

また、職域接種については、米モデルナ製のワクチンの不足から現在、新規受付が停止となっている。

●「副反応で働けない」接種見送る加盟店も

いずれのチェーンでも、アルバイトなど非正規雇用の労働者にも職域接種の余地がある。一方で、コンビニで働くスタッフは一店舗で何人もいることを考えると、予定者が少ないようにも見える。

この点については、コンビニ業界に共通する人手不足の問題も影響している可能性がありそうだ。

チェーンを問わず、複数のオーナーに職域接種の予定を聞いたところ、「副反応があると働けない」「接種後2日空けるとしたら、シフト調整が必要」と懸念する人もいた。本部側もなるべく複数日程を用意しているが、選択肢は限られている。

あるオーナーはコロナ禍の売上減をカバーするため、長時間ワンオペ中。職域接種への希望は出さず、自治体接種を待つことにした。スタッフの接種について、次のように複雑な心境を語った。

「言い方は悪いのですが、コロナにかかれば店を閉められるけど、副反応で休まれると、ますます自分が入らないといけないんですよね…」

ワクチン不足で職域接種の受付が停止したことを考えても、数多いるコンビニの働き手全員への接種はそもそも非現実的だろう。ただ、店舗の事情で、オーナーだけでなく、希望しているのに接種できない労働者が出てくる恐れはありそうだ。

なお、ワクチン接種を避ける若者らが一定数いることが報じられているが、実際に希望者が一人もいないという店舗もあるという。

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