東京地検特捜部に在籍していた男性検事が、事件の捜査で取り調べを担当した女性と不適切な関係を持ち、ワイヤレスイヤホンや腕時計などの金品を受け取っていた疑いが浮上している。
報道では、別の事件の捜査のために確保したホテルの一室に女性を呼び出して、一緒に宿泊していたとも伝えられている。
現時点では最高検による調査中で、事実は明らかになっておらず、報道内容がそのまま認定されたわけではない。しかし、仮に報道のとおりであれば、検察への信頼を揺るがしかねない深刻な問題だ。
一般論として、このような行為が事実だった場合、検事にはどのような刑事責任が生じるのだろうか。刑事事件に詳しい元検事の落合洋司弁護士に聞いた。
●職務との見返りなら「収賄罪」の可能性
公務員として懲戒処分の対象になり得ることは言うまでもありませんが、刑事事件としても複数の犯罪が成立する可能性があります。
報道によると、相手から時計などの金品を受け取ったり、飲食代を負担させていたとされています。こうした利益の供与が検事としての職務に関連していたのであれば、収賄罪が成立する可能性があります。
具体的な請託を受けていた場合は受託収賄罪、さらに不正行為をしたり、本来果たすべき職務を怠ったりしていた場合には、加重収賄罪が成立する可能性があります。
加重収賄罪の法定刑は、1年以上20年以下の拘禁刑と重く定められています。なお、最高裁判所は、異性間の情交自体も賄賂になるとの判断を示しています。
●捜査情報を漏らしていれば「秘密漏洩罪」も
検事が捜査上の秘密を相手に漏らしていた場合には、国家公務員法の秘密漏洩罪に問われる可能性もあります。
実際に最近では、さいたま地検の検事が、独身と偽って交際していた女性に他人の前科情報を漏らしたとして罰金刑を受けました。なお、この検事は懲戒免職処分となっています。
●ホテルを私的利用なら「詐欺罪」の可能性
報道では、取り調べのために確保したホテルの部屋に女性を呼び、一緒に宿泊していたとも伝えられています。
たとえば、実際には取り調べには使用しないにもかかわらず、公費で確保したホテルを女性との宿泊目的で利用していた事実があれば、公費をだまし取ったとして詐欺罪が成立する可能性があります。
また、ホテル側に対して利用目的や使用実態を偽っていた事情があれば、ホテルとの関係でも詐欺罪が問題となる可能性があるでしょう。
●刑事司法全体への国民の信頼を失墜させかねない
犯罪の成否は事実関係の解明を待つ必要がありあす。しかし、東京地検特捜部の検事が報じられているような行為に及んでいたことが事実であれば、捜査の公正に対する国民の重大な疑念を招きます。
刑事司法全体への国民の信頼を失墜させかねないもので、言語道断の不祥事だと考えます。