福井県にある人口2500人ほどの町がネットで話題になっている。同県の池田町には、町職員同士が結婚したとき、どちらかに退職を促す慣習が残っているという。地元の福井新聞オンラインが8月10日に詳報した。
同紙によると、この慣習ができたのは1993年。過去20年で3組ほどが対象になったという。世帯収入が高くなることもあり、住民からの批判を懸念したようだ。
池田町の人口など。同町HPより(https://www.town.ikeda.fukui.jp/gyousei/gyousei/1921/p001487.html)。
町側にも一定の理由はあるようだが、憲法問題や家事事件にくわしい村上英樹弁護士は、「憲法が保障する『婚姻の自由』(24条)の侵害になるおそれが大きい」と指摘する。
●「強制していない」は通用する?
とはいえ、同町はあくまで「慣習」であって、退職の強制はしていないとしているようだ。
「退職する人は、あくまで自主的な退職だから憲法の問題にはならない、という考え方が採られているのかもしれません。
しかし、自主的な退職を勧める、いわゆる『退職勧告』というのも、たとえば複数回、または、長時間にわたって退職するように言い続けるなど、実際上辞めざるを得ないように仕向けるものであれば、違法になることがあります。
したがって、『慣例』として実際上職員が婚姻を理由に退職を強制させられる状況にあるとすれば憲法違反のおそれがあります」(村上弁護士)
住民の批判があるとしても、両性の平等と婚姻の自由を保障する憲法の考え方からすれば、望ましい対応とは言い難そうだ。