「新型コロナの影響で、4月に入ってからはずっと在宅勤務。昼休憩とるくらいなら、その分早く仕事を終えて、お酒飲める時間を前倒ししたいですよ」
あるIT企業で働くマサルさん(30代)は、最近テイクアウトを始めた近所のイタリアンレストランで買った弁当を食べながらそう言います。
マサルさんは、会社支給のノートPCで仕事の進捗や受信BOXにあるメールを確認しながら弁当を食べ、食べ終わると再び作業に戻っています。
「昼休憩って、社員のためにあるわけでしょ? その社員が自ら『いらない』って言ってるんだから、ぜひ認めてほしいですね。またオフィスに通勤するようになっても、昼休憩なしで全然構わないですよ」(マサルさん)
昼休憩を取りたいのに取ることができないという話はよく耳にするが、マサルさんのように不要だと考えている人もいるようだ。
会社は、こういった人にも休憩を取らせなければならないのだろうか。天田圭介弁護士に聞いた。
●取りたくないと言われても休憩を与える義務がある
ーー従業員の休憩は、法律上どのような扱いなのでしょうか
「法律上、企業は、従業員に対し、原則として、その従業員の1日の労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を、労働時間の途中に、いっせいに与える義務を負うとされています。
例外として、労使協定により、企業は、従業員に対し、休憩時間を「いっせいに」与える義務を免れますが、それでも、労働時間の途中に法定の休憩時間を与える義務を負うことに変わりありません。
そして、企業がこの法律上の義務に違反した場合には、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金という刑罰を科せられる可能性もあります」
ーーマサルさんのように「不要」という人にも取らせないといけないのでしょうか
「このような企業の法律上の義務は、たとえ従業員が休憩を取りたくないと言ったとしても免れられるものではありません。
企業としては、従業員に休憩を与えることが法律上の義務であり、従業員の安全の観点からも非常に重要であることを、従業員に説明し理解してもらうことが必要です。
それでも休憩を取らない従業員がいる場合には、企業としては、それを黙認することはできませんので、その従業員に対して休憩を取るよう命令を発するなど、毅然とした対応をとるべきだと思います」