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同僚は見た! ラブホテルに入る「社内不倫」カップル…会社に通報してもいい?
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

同僚は見た! ラブホテルに入る「社内不倫」カップル…会社に通報してもいい?

社内不倫している同僚を目撃し、社内コンプライアンス部門への通報を考えているーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられた。

相談者は、会社の敷地内にある駐車場で、同僚が2人で車に乗り込むのをみかけた。その後、2人が乗った車はラブホテルに入っていったことも確認した。

「社内の秩序、風紀を乱してはならない」などの就業規則に反するのではないかと考えた相談者は、ラブホテルに駐車する車の写真などを撮影。通報する際に「証拠」として提出する考えでいるようだ。

一方で、「漏洩などのリスクや自分自身に不利益があるのではという不安もあります」と悩んでいるという。

社内不倫をコンプライアンス部門に通報することは、法的に問題があるのだろうか。村木亨輔弁護士に聞いた。

●同僚やその不倫相手に損害賠償を請求されるおそれも…

ーー社内不倫をコンプライアンス部門に通報した場合、刑事責任が問われる可能性はあるのだろうか

「この点については、『名誉毀損罪』(刑法230条)が問題になるようにも思えます。名誉毀損罪は『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損』した場合に成立します。

今回のような例でいえば、会社側としても、コンプライアンス部門で取り扱う情報については管理を徹底するでしょう。したがって、ごく限られた相談窓口の関係者以外の第三者に伝わるリスクは低いといえます。

そのため、そもそも社内窓口への相談だけでは、『公然性』が否定される可能性が高いと考えられます」

ーー民事責任についてはどうだろうか

「同僚やその不倫相手から、各人の名誉ないしプライバシーを侵害したとして『不法行為』(民法709条)に基づいて損害賠償を請求されるおそれがあります。

名誉棄損については、先ほどと同様、会社の相談窓口に通報したとしても、『社会的評価を低下させる事実の流布』とまではいえないでしょうから、請求が認められる可能性は高くないように思います。

一方で、プライバシー侵害については、そもそも、部外者である相談者が何故、同僚が不倫をしていると結論付けることができるのか、相談内容からはよく分かりません。

同僚とその相手の一方ないし双方が既婚者だったとしても、目撃した時点では離婚しているかもしれません。双方に配偶者がいないのであれば、第三者が口を挟む問題ではないように思います。

いずれにせよ、全くの第三者による相談者からの通報自体、結果的に同僚らのプライバシーを侵害することにつながるおそれは皆無とはいえないでしょう」

●社内不倫を理由とした解雇処分を有効と判断した事例も…

ーー仮に不倫が事実だった場合には、相談者の通報によって事実を知った会社が、同僚や不倫相手に対して懲戒処分などの対応をする可能性もあるのだろうか

「社内不倫はプライベートな事柄ですし、業務に関係がない職場外の問題なので、懲戒処分の対象にはならないようにも思えそうです。

しかし、過去の裁判では、社内不倫が企業の秩序や社会的評価に影響を及ぼす問題であるとして懲戒処分がされ、その有効性が争われたことがあります。さらに、裁判例の中には、社内不倫を理由とした解雇処分を有効と判断したケースもありますので、注意が必要です」

プロフィール

村木 亨輔
村木 亨輔(むらき きょうすけ)弁護士 虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に31の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。

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