大学生のインターンシップについて言及したブログをめぐり、ネットで議論が沸騰した。時給1000円で採用したWEBメディア「MTRL」運営会社の代表がブログで、「今後、インターンをやめようかとさえ思ってしまった。なにもメリットがなかったし、相手もメリットを感じてくれたり、成長してくれる人がいなかったから」と書いたからだ。
期待したような成果を残せなかったインターン生を、手厳しく批判する内容になっており、ネット上ではブログの内容に賛否が相次いだ。「大学生なんだからそこまで言わなくてもいい」「インターンに何を求めてんの?」など、インターン生に求める水準が高すぎるという声もあった。
いっぽうで、インターンとは本来、就業経験として無償でやることが普通ではないか、として、報酬を得ている以上、成果を残すのは当然だと社長側に同意する意見もみられた。
学生が報酬を得て行う仕事としては「アルバイト」という名称が一般的だが、「インターンシップ」と、「アルバイト」とはどのような違いがあるのだろうか。お金を払うのであれば、成果を求めても問題はないのだろうか。竹花元弁護士に聞いた。
●「インターンシップ」と「アルバイト」の違い
「まず、『インターンシップ』と『アルバイト』という日常使われる言葉の法律上の位置づけを確認する必要があります。
インターンシップも、アルバイトも、法律上の明確な定義はありません。名目がインターンシップであってもアルバイトであっても、法律上の『労働者』に該当するか否かによって、法的な地位が異なります。『労働者』であれば『労働基準法』や『最低賃金法』などの労働法規が適用されます。
そして、『労働者』は、使用者(会社)の指揮命令に服する者、と定義されます」
どのような場合、インターンシップの学生も「労働者」とみなされるのだろうか。
「インターンシップは、活動内容や受入企業からの要求水準によって『労働者』に当たる場合もあれば、当たらない場合もあります。インターンシップが労働者に当たるとされやすい要素としては、
(1)職場「体験」にとどまらず他の従業員と同様の作業に従事している
(2)ノルマ設定など成果を求められている
(3)求められる成果を達成できないと制裁がある
この3点が挙げられます」
今回のケースでいえば、どう判断されるだろうか。
「受入企業は時給1000円を支払っています。最低賃金を超える金額を支払っていることから、受入企業がインターンシップを『労働者』として処遇していると理解できます。そして、『労働者』として処遇している以上、成果を求めることも基本的に問題がありません。
今回のケースとは異なりますが、金銭をまったく支払わなかったり、『手当』名目で最低賃金未満の金銭を支払うようなインターンシップだったとすれば、そもそも成果を求めることとそぐわない、といえるでしょう。
最近では、インターンシップに対して最低賃金以上の金銭を支払うケースが増えているようです。インターンシップで鍛えたり、成果を見るためには、ある程度負荷をかけることが必要で、そのためには労働者として取り扱うことに合理性があると考えられます。
なお、インターンシップを労働者と扱う場合であっても、インターネットのような公共の場で、インターンシップについて発信する場合、発言内容の過激さや対象者特定の容易さ等の事情によっては、名誉棄損など、労働法規とは別の法的問題が生じる可能性は否定できないことにも留意が必要です」