離婚時に養育費について決めなかった場合の対処法

離婚にあたって、子どもの親権者となった親は、親権者とならなかった親に養育費の支払いを求めることができます。 離婚をするときに養育費について決めなかった場合でも、離婚後に、金額や支払い方法を決め、元配偶者に請求することができます。 この記事では、離婚後の養育費請求について、元配偶者と話合いで決める場合の流れや、話合いでは合意できない場合の対処法などを、詳しく解説します。

目次

  1. 離婚した後からでも元配偶者に養育費を請求できる
  2. 養育費に関して決めること
    1. 金額をいくらにするか
    2. いつまで支払うか
    3. 支払い方法をどうするか
    4. 話合いで合意できたら公正証書にまとめる
    5. 話合いで合意できない場合は調停や審判を利用する
  3. 調停と審判の手続きの流れ
    1. 調停の申立て方と必要書類
    2. 調停で行われること

離婚した後からでも元配偶者に養育費を請求できる

alt 離婚すると法的な夫婦の関係は解消されますが、親子の関係は続きます。離婚して子どもと離れて生活するようになった親にも、子どもの健やかな成長をサポートする義務があります。 そのため、親権を持つ親(親権者)は、親権のない親(非親権者)に対して、養育費を請求することができます。 養育費とは、未成年の子どもが成長するために必要なお金のことで、生活費や教育費、医療費などが含まれます。 養育費の金額や支払い方法については、離婚をするときに決めることが一般的です。 しかし、離婚をするときに養育費について決めなかった場合でも、離婚後に、元配偶者に養育費を求めることができます。

養育費に関して決めること

alt 元配偶者と養育費について話し合うときには、主に次のようなことを決めます。

  • 金額をいくらにするか
  • いつまで支払うか
  • 支払い方法をどうするか

金額をいくらにするか

養育費の金額は、一般的には、家庭裁判所が参考にしている養育費算定表を目安に決めることになります(2019年12月23日に、改訂版が公表されました)。 養育費算定表は、子どもの人数・子どもの年齢に応じて、参考にすべき表が分かれています。まずは自分のケースに当てはまる表を見つけましょう。 表では、縦軸が「養育費を支払う側の年収」、横軸が「支払いを受ける側の年収」となっていて、それぞれが交わるゾーンの金額が養育費の目安(月額)となります。この金額は子ども1人あたりの金額ではなく、月々の合計額です。 給与所得者の場合、源泉徴収票の支払金額(控除されていない金額)が年収にあたります。一方、自営業者の場合は、課税される所得金額が年収にあたります。 たとえば、給与所得者で、子どもが2人(0歳〜14歳)いるケースでは、改訂された算定表によると、1か月間の養育費の目安は次のようになります。

養育費の目安・養育費を支払う側の年収が800万円で、受け取る側の年収が0円の場合…1か月の養育費の目安は14万円〜16万円

・養育費を支払う側の年収が600万円で、受け取る側の年収が400万円の場合…養育費の目安は6万円〜8万円

元配偶者との話合いで合意できれば、算定表の相場とは異なる金額を定めることもできます。 話合いがまとまらず、調停や裁判で養育費の額を決める場合は、基本的にはこの算定表に基づき、個々のケースに応じた事情を考慮して、金額が提示・判断されることになります。

いつまで支払うか

養育費の支払い期間は、元配偶者との話合いで自由に決められますが、原則としては、子どもが成人するまで、つまり20歳になるまでです。 お互いに合意すれば、子どもが将来大学に進学することを想定して「22歳まで」「大学卒業まで」などと決めることもできます。

支払い方法をどうするか

養育費は子どもの成長に合わせて必要となる費用なので、定期的に支払われるべきと考えられています。 そのため、通常は、毎月一定の金額を銀行口座などに振り込む形で支払われます(合意すれば、一括で支払ってもらうこともできます)。

話合いで合意できたら公正証書にまとめる

養育費について、元配偶者と話し合って合意できた場合は、決まった内容を公正証書の形で文書にしておきましょう。 公正証書とは、公証役場で 、裁判官などの法律の専門家から選ばれた公証人に作成してもらう文書です。公正証書には高い信用性があるため、将来、養育費について裁判で争うことになった場合に、強力な証拠になります。 また、公正証書に「強制執行認諾文言」という文言を記載しておけば、養育費が約束通りに支払われなくなった場合に、裁判などの手続きを経なくても、強制執行により預金、給料、不動産などを差し押さえることができます。 強制執行認諾文言とは「ここに書かれた取決めを破ったら、強制執行を受けても文句は言いません」と約束させる一文です。

話合いで合意できない場合は調停や審判を利用する

話合いで合意できない場合には、家庭裁判所の「養育費請求調停」という手続きを利用して、解決を目指すことができます。 調停でも合意できなければ、調停は不成立となり、自動的に審判の手続きに移行します。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して、養育費の金額などについて判断を下します。

調停と審判の手続きの流れ

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調停の申立て方と必要書類

養育費請求調停は、原則として元配偶者の住所地を管轄(担当)する家庭裁判所に申し立てます。管轄裁判所はこちらから確認できます。

たとえば、自分は東京に住んでいるけれど、元配偶者は福岡に住んでいるという場合は、原則として、福岡の家庭裁判所に申立てを行う必要があります。ただし、双方が東京で調停をすることに合意できれば、東京の家庭裁判所に申立てを行うこともできます。

調停の申立てには、以下のような書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー1通(裁判所のホームページからダウンロード可能)
  • 申立人の収入に関する資料のコピー(源泉徴収票、給与明細書、確定申告書、非課税証明書など)
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)

これらの書類以外にも、ケースに応じて、別の書類が必要になる場合もあります。 また、申立ての費用として、収入印紙1200円分(子ども1人につき)と連絡用の郵便切手(申立てをする裁判所によって金額が異なります)が必要です。

調停で行われること

第1回目の調停は、申立てから1か月ほど経った後に開かれることが一般的です。1回の調停で結論が出ない場合は、さらに約1か月ごとに2回目の調停、3回目の調停…と話合いを重ねていきます。 調停は平日に行われ、1回あたりの所要時間は2時間ほどです。 調停には、裁判官1名と調停委員が2人(一般的には男女1人ずつ)参加します。 あなたと元配偶者は別々の待合室で待機し、交互に(例外的に同時となる場合もあります)調停室という部屋に入り、調停委員と話をします。 調停委員は中立的な立場で、子どもの年齢や人数、それぞれの収入をはじめ、あらゆる事情について聞取りを行います。 聞取りが一通り終わると、事情を踏まえて、調停委員から、解決策やアドバイスが提示されます。 調停での話合いがまとまらず不成立となった場合には、自動的に審判に移り、裁判官が一切の事情を考慮して判断を下します。 調停で解決すると「調停調書」、審判で解決すると「審判書」という文書が家庭裁判所で作成されます。 これらがあれば、養育費が取決め通り支払われない場合に、履行勧告や履行命令、強制執行などの措置をとることができます。

養育費が支払われない場合の対処法は、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。

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