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警察の「違法職質」に弁護士会が勧告 拒否しているのにポケット調べ、無理やりパトカーへ
画像はイメージです。事件当時の写真ではありません(Mj007 / PIXTA)

警察の「違法職質」に弁護士会が勧告 拒否しているのにポケット調べ、無理やりパトカーへ

通行中の男性に対し、暴言や暴力をふるうなどの違法な職務質問があったとして、東京弁護士会(会長:松田純一弁護士)は10月12日付で警視庁に対し、警察官への指導・教育を徹底させるよう勧告した。被害にあった男性が2019年に人権救済の申し立てをしていた。

勧告書によると、男性は午前2時半ごろに東京都三鷹市内の路上を歩行中、警官2名に声をかけられた。名前を尋ねられたが、回答が任意であることを確認して断ったところ、警官の人数が複数名増えた。

警官たちは具体的な不審点を挙げることなく、「不審点がいっぱいあるから」、「(不審点が)なければいいんだよ、なければ」、「めちゃくちゃ不審だよ。まじ不審だよ」などと、男性に対し乱暴で侮辱的な言葉を投げかけた。

さらに、男性が明確に拒否しているにもかかわらず、服のポケットに手を入れ、バッグの中ものぞいたという。

それでも犯罪の嫌疑につながるようなものは見つからなかったようだが、男性は無理やりパトカーの後部座席に乗せられ、警察署に同行させられそうになった(男性は抵抗し、車外に出ることができた)。その後、詳細は不明だが、男性は午前3時ごろに解放された。

●行き過ぎた行為として違法性を指摘

職務質問は、協力が任意であり、対象についても「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」などに限定されている(警職法2条)。

勧告書は警官たちの行為について、職務質問の要件を満たさないだけでなく、満たしていない場合として許容される範囲も逸脱していると指摘。任意性を確保するため、丁寧な態度・言葉遣いであるべきところ、男性に精神的苦痛を与えるなどして、行動の自由(憲法13条)を侵害したとして違法な行為と認定した。

さらに、現場の警官にはもっとも階級が上の責任者がいたはずだとして、無理やりパトカーに乗せるなど、エスカレートする行為を制止した形跡がないことも問題視した。

●事件発生から時間経過も…録音データが決め手に

東京弁護士会によると、事件があったのは2009年3月。男性は被害について周囲に相談したが、理解・協力を得られなかったことなどから、人権救済の申し立てまでに約10年の時間があいたという。

録音が残っていたことや、東京都公安委員会が問題なしと結論づけていたことから調査が進められ、勧告書ではパトカーに無理やり乗せる以外にも、男性の身体に苦痛を与える暴力的行為があったことを認定している。

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