家本 誠 弁護士
当該医療機関に対する内容証明での申し入れについて1 前記医療事故調査制度は、医療機関の責任追及を目的とする制度ではなく、医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を行うことが制度の目的とされています。しかし医療事故の再発防止の観点から、当該医療事故がどのような原因、機序(しくみ、メカニズム)から生じたものであるのか、その点が調査対象とされることから、結果として、医療事故に対する当該医療機関の医療行為に問題がなかったのか、それを理解する上で前記調査制度が一定の情報提供を行うことも事実であると思います。2 医療事故調査制度で調査の対象となる医療事故とは、全ての医療行為ではなく、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」と極めて限定されています(詳しくは医療法第6条の10、医療法施行規則第1条の10の2に記載されています)。そのため医療行為により重篤な後遺症を負った場合であっても、死亡に至っていない場合は、この調査制度の対象にはなりません。3 医療事故調査制度で調査の対象となる医療事故であるか否かの判断は、当該医療機関の管理者が行うことと定められているため、遺族が「前記医療事故」であると考えたとしても、当該医療機関の管理者が「医療事故」ではないと判断した場合には、この医療事故調査制度に基づく調査を当該医療機関に義務付けるようなことができる仕組みにはなっていません。 しかし「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」の通知(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)においては、病院等の管理者は、「遺族等から法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申出があった場合であって、医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明すること。」とされています。従って当該医療機関の管理者が、医療法6条の10に該当しない医療事故であると判断した場合であっても、当該死亡につき、何故調査の対象とならない医療事故であるのか、遺族等に対して、その理由を分かりやすく説明することが、当該医療機関には求められています。4 結 果 以上の理由から、亡くなられた妻から医療機関に対して、内容証明で、医療事故調査制度の適用を申し入れましたが、結果としては、当該医療機関からは、前記医療法6条の10に該当しない医療事故であるとの回答がなされました。その回答内容については、決して満足のできる内容ではありませんでしたが、かかる内容証明の申し入れをすることにより、当該医療機関が、死亡した結果に対して、どのような原因に基づくものであるのか、また死亡結果について、予期されたものであったとの具体的な理由などについて、その点を書面で確認できるという意味はあったものと考えています。
医療事故調査制度をご存知ですか。医療事故について、当該医療機関に対して医療事故調査制度の適用を申し入れたケース。の
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