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「経済的理由で夢を諦める制度はおかしい」日弁連が国会議員に司法修習「給費制」要望
会場には、法科大学院生や弁護士をはじめ、300名以上が集まった。

「経済的理由で夢を諦める制度はおかしい」日弁連が国会議員に司法修習「給費制」要望

司法試験の合格者が「無給・原則バイト禁止」の状態で1年間の司法修習を受けなければならない問題について、日本弁護士連合会は2月9日、東京・永田町で国会議員との意見交換会を開いた。日弁連の弁護士たちは、裁判所法を改正して、司法修習生に支援金を「給付」する制度を創設するよう訴えた。

日弁連によると、この「給費型」の経済的支援については、国会議員371人から賛同のメッセージが寄せられている。日弁連の村越進会長や、給費制復活を目指す若手法律家団体「ビギナーズ・ネット」学生代表の竹崎祐喜さんらは、賛同のメッセージ集と意見書を、意見交換会に出席した国会議員に手渡し、早期に裁判所法の改正を実現するよう要望した。

●元検事の若狭議員「司法修習の経済的支援は国の責務」

司法試験の合格者は、合格後すぐに弁護士・検事・裁判官という法曹資格を得られるわけではなく、1年間、実務トレーニングである「司法修習」を受ける必要がある。修習期間の費用について、2010年の合格者までは、修習中に国が給与を支給する「給費制」がとられていた。しかし国の財政上の理由で、2011年の合格者からは、資金を貸し付ける「貸与制」に移行した。

給費制については、なぜ自営業の弁護士を育てるために、国の税金を使わなければならないのかという批判もある。だが、国会議員として出席した若狭勝衆院議員(弁護士、元検事)は、「『弁護士』という言葉は憲法の条文にも登場する、人権擁護など公的な役割がある職業だ。その支援は国の責務だ」と述べ、検察官や裁判官の卵だけではなく、弁護士を目指す修習生についても国が経済的支援をする必要があるという考えを示した。

昨年末に弁護士登録をしたばかりの服部咲弁護士は、ともに司法試験に合格した友人が、経済的事情で司法修習をあきらめ、公務員の道を選んだエピソードを紹介し、法曹を目指す後輩たちのためにも、制度改正を訴えた。

「彼は、弱い人を守る弁護士になりたいとよく話していた。そんな人が、お金がないという理由で夢を諦めることになる貸与制はおかしい制度だと思う。今こそ、この制度を変えて、後輩たちが夢を叶えられるような制度設計をしてほしい」

(弁護士ドットコムニュース)

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