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1万円が3000万円、かぼちゃの馬車「残高改ざん」の魔法…スルガ銀告発、弁護団が指摘
スルガ銀行

1万円が3000万円、かぼちゃの馬車「残高改ざん」の魔法…スルガ銀告発、弁護団が指摘

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが経営破綻した問題で、オーナー側を支援する弁護団は5月22日、行員14人を含む33人が融資書類の改ざんに関わった疑いがあるとして、スルガ銀行などに対する告発状を警視庁に出した。告発に向けて弁護団が整理した資料には、驚きの「改ざん手口」がまとめられていた。一部を紹介する。

●残高1万円が、まさかの3000万円に水増し

実際に融資審査に使われた預金通帳のコピーなどを取り寄せ、弁護団が精査して作成したのが「変造結果一覧表」。ここには、オーナー35人それぞれの預金残高などが、スルガ銀行の融資基準を満たすために、どのように改ざんされたかが記されている。

土地と建物あわせて約1億円の融資を受けたオーナーの場合、三井住友信託銀行の通帳のコピーを変造された。1万円ほどだった預金残高が3000万円余りに水増しされ、しかも販売会社に対して計約1400万円の手付金を支払っているかのように改ざんがされた。

また、2棟建築するため約2億7000万円の融資を受けた別のオーナーは、三菱UFJ銀行(現在)の通帳のコピーを変造された。残高は3万4000円ほどだったのに1500万円強に水増しされ、販売会社に対して3700万円を振り込んだかのように改ざんがされた。他に、口座を開いただけで全く取引がなかったのに、残高を3000万円と「捏造」されたケースも確認されたという。

●偽造マニュアル、「上層部」が関与?

こうした改ざんについて、オーナーは認識がなかったのかーー。これまでの会見でもこうした質問が飛んだが、河合弘之弁護士は5月22日の会見で、「偽造された数字を見せられたという例はない」と話した。

オーナーは、販売会社の求めに応じて預金通帳などのコピーを提出していた。その後、融資審査にあたって改ざん行為がされたと弁護団はみている。実際、弁護団はスルガ銀行の融資担当者が、販売会社に対して改ざん業者を紹介していたとされる音声データ(電話の録音)を入手。すでに警視庁にも提供したという。弁護団は「スルガ銀行の関与は明らかだ」としている。

さらに弁護団は、改ざん書類に基づくスルガ銀行による融資が、「かぼちゃの馬車」関連の他にもあるという疑いを強く持っている。紀藤正樹弁護士は会見で「偽造のマニュアルを作ったのはスルガ銀行のかなり上のレベルではないかと思われる。(今回問題となっている)横浜東口支店だけじゃなく、他にも広がっている」と指摘した。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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