「何度『やめて』と言っても、胸やお尻を触られる」
「家事をしている最中に後ろから抱きつかれる」
「子どもの前でも勝手に体を触ってくる」
こうした夫からの望まない身体接触を「家庭内痴漢」と呼ぶ投稿がSNSで相次ぎ、多くの共感を集めています。
嫌だと伝えても「コミュニケーションのつもりになっている」と効き目がなく、相談した相手からも共感されず「愛されてるね」と言われることもあるとといい、当事者の悩みは深いようです。
中には、「キッチンにいる時に触ってくるので、包丁を向けてしまった」という人もいました。
夫婦間であっても、相手が明確に拒否している身体接触を繰り返すことは、法的にどのように評価されるのでしょうか。男女の問題にくわしい古関俊祐弁護士が解説します。
●夫婦間でも不同意わいせつ罪になる可能性
まず、夫婦間であっても、相手の同意なく胸や陰部を触る行為は不同意わいせつ罪に該当する可能性があります。改正刑法では「婚姻関係の有無にかかわらず」罪が成立することが明記されており、スキンシップという言い訳は通用しません。
もっとも、「家庭内痴漢」といわれる行為は家庭内だけに密室でおこなわれることが多く、同意がなかったことを裏付ける証拠が乏しかったり、身体的危険性が低いと判断されたりする場合も少なくありません。そのようなケースでは、警察に相談したとしても、積極的に対応してくれない場合もあります
また、刑事罰に問われないまでも、繰り返されれば、夫婦間の信頼関係を根本から破壊する「婚姻を継続し難い重大な事由」として、裁判上の離婚事由になり得ます。
●「嫌なことは嫌だ」と繰り返し伝える
「家庭内痴漢」の問題は、「夫婦関係の変化」と「時と場合」によるところが大きいのかなと考えます。
若い頃はお互い常にくっついていたいと思っていたとしても、家庭を築き、仕事や家事育児に追われる日々の中で、「触られるのも嫌」という気持ちになることもあるでしょう。
また、仕事や家事育児に集中しているときにベタベタ触られたら誰だって嫌な気持ちになりますよね。私自身、仕事中にベタベタ触ってこられたら怒ると思います。「遊んでないで手伝って」と思わず言うでしょう。
まずは、「嫌なことは嫌だ」と繰り返し伝えることが大切です。それでもわかってくれないのであれば、夫婦間のコミュニケーションに問題が生じているといえますので、離婚を視野に入れるのも選択肢になってきます。
男性も女性もパートナーの気持ちを軽視せず、きちんと声に耳を傾けることが、良好な関係を保つコツになります。
親しき仲にも礼儀ありという言葉のとおり、嫌なことは嫌だと率直に伝え合うことが、夫婦関係を見直す第一歩になるでしょう。