動画配信や音楽など、月額・年額制のサブスクは、今や生活に欠かせないサービスとなった。一方で、契約者が亡くなった後、その解約に遺族が苦労するケースが少なくない。
クレジットカードを止めても請求が続いたり、本人以外は解約しづらかったりと、悲しみの中で思わぬ負担を抱える。
故人のサブスクは、遺族が解約してよいのか。料金や解約料は誰が負担するのか。相続の際に気をつけるべきポイントについて、池田誠弁護士に聞いた。
●妻を亡くした男性「解除に時間を使っている」
妻を亡くしたという男性が、SNSで「サブスク解除に時間を使っている」と投稿していた。
クレジットカードを解約しても、サブスク自体を止めなければ請求は続く。
電話窓口はなかなかつながらず、戸籍や本人確認書類の提出を求められ、「解約料がかかる」と案内されたという。
弁護士ドットコムにも、親が亡くなったという人から「スマホやAmazonプライムのサブスクを家族で解約していいのか」「解約のタイミングは」といった相談が寄せられている。
消費者トラブルにくわしい池田誠弁護士に聞いた。
●多くは遺族が「解約」できる
──契約者が亡くなった場合、サブスク契約は遺族が解約できるのでしょうか。
結論から言えば、相続人である遺族がサブスク契約を解約することは、多くの場合で可能です。
この行為は、一般的には、新たな利用料の発生を防ぎ、遺産の減少を食い止める「保存行為」にあたると考えられ相続人が単独で行うことができます。
サブスク契約も、原則として、民法896条に基づいて相続人に承継されます。
したがって、解約までの利用料や解約時の解約料なども、相続人の負担になります。
●「相続放棄」の支障になりうることも
ただし、注意すべきこともあります。
事情によっては、サブスク契約の解約が、相続を承認したとみなされる「処分行為」にあたると評価され、相続放棄ができなくなるリスクがあります。
ですから、あなたが相続放棄を予定している場合には、放棄を予定していない相続人に解約を委ねるのが安全です。
●スマホから解約がもっとも簡単
──スムーズな解約手続きを実現するポイントを教えてください。
解約は、契約時に登録したスマートフォンなどの端末を利用するのが最も簡単なようです。
ただ、そのためには、契約者の端末のロック解除や、サブスク契約のIDとパスワードなどが必要になってきます。
最近では、「デジタル終活」という表現で、生前に、端末のパスワードや加入しているサブスク契約の情報を整理しておくことも推奨されています
●端末で解約できなかったら?
──端末を通じた解約ができない場合、どうすればよいでしょうか。
サブスクの公式サイト上の案内や問い合わせ結果に従って郵便などで解約することになります。
事業者によっては、端末を使用した解約以外の方法を案内していないところもあるようです。
しかし、契約者の死亡により端末を通じた解約ができないのに、それ以外の方法による解約が制限されるのは不当で、違法と考えられますから、郵便で解約を申請されたら良いと思います。
●おすすめは配達証明付内容証明郵便
方法としては、配達証明付内容証明郵便がおすすめです。
最低でも、解約を行うことに加え、契約者を特定できる情報、死亡日、自身がその相続人であること(続柄)、わかる限りの契約情報を記載するのがよいでしょう。
なお、契約者が亡くなったことや、申請者が相続人であることなどを証明する必要が出てきます。そのため、契約者の「住民票の除票」、「戸籍」(申請者自身が相続人であることを示すため)と「身分証明書」などを別に提出する必要が生じることが多いと思います。