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「私の中で母は2度死んだ」亡き母の写真を取り戻せず…データ復旧サービス利用者ら6人が提訴「復旧率95.2%信じて依頼」
会見した原告代理人の山中眞人弁護士(2026年10月14日/東京・霞が関の司法記者クラブ/弁護士ドットコム撮影)

「私の中で母は2度死んだ」亡き母の写真を取り戻せず…データ復旧サービス利用者ら6人が提訴「復旧率95.2%信じて依頼」

「データ復旧率95.2%」などの宣伝を信じて依頼したものの、勧誘や契約時の説明に問題があったとして、データ復旧サービスなどを利用した男性6人が、運営会社を相手取り、計約491万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

訴えられたのは、「デジタルデータリカバリー」を運営するデジタルデータソリューション(東京都港区)。提訴は10月1日。

原告側は、同社が契約時の説明義務に違反したなどと主張。不法行為に基づいて慰謝料などを含む損害賠償を求めている。

また予備的に、民法上の錯誤・詐欺や消費者契約法上の不実告知などを理由に、契約の取り消しなどを求めている。

同社は10月15日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「訴状が届いておらず、具体的な請求内容や原告側の主張を確認できておりません」と回答。

「コメントは差し控えさせていただきますが、訴状が届きましたら内容等を確認のうえ、適切に対応してまいります」としている。

●「復旧率95.2%」という数字は何を意味するのか?

訴状によると、6人のうち5人はスマートフォンやパソコン、ハードディスクのデータ復旧を、残る1人は不正アクセスの有無などを調べる「フォレンジック調査」を同社に依頼した。

依頼した時期は2021年10月から2026年4月にかけて。支払った料金は1人あたり約14万〜116万円、計約306万円にのぼるが、いずれも求めていた結果は得られなかったという。

6人に共通していたのは、同社のウェブサイトで掲載されていた「データ復旧率95.2%」という数字を見て依頼したことだ。

原告側によると、この数字は、2017年12月から2021年12月までの各月の復旧率のうち、最も高かった月の数値だったという。

さらに、何をもって「復旧」とするのか、その基準も示されていなかったとしている。原告側は、こうした表示が消費者契約法上の「不実告知」にあたると主張している。

なお、同社のデータ復旧サービスのサイトには現在、「一部復旧を含む復旧件数割合92.6%(内、完全復旧52.0%)」(2025年9月実績)と表示されている。

「一部復旧」には、指定されたデータを「1つでも復旧できた場合を含む」との説明もある(10月14日時点)。

●「極めて難易度が高い」契約前には説明されずと主張

原告側がもう一つ問題視しているのが、契約前の説明だ。

訴状によると、外付けハードディスクの復旧を依頼した原告は、作業後に届いた報告書を見て、初期診断の段階で復旧が極めて難しいと判断されていたことを初めて知ったという。

報告書には「スクラッチが発生しているハードディスクからのデータ抽出は極めて難易度が高い」と記されていた。

しかし、契約前にはこうした説明はなく、「復旧可能」「復旧可能性がある」などと説明されていたという。

原告側は、契約の判断に関わる不利な診断結果を伝えなかったとして、消費者契約法の「不利益事実の不告知」や、信義則上の説明義務違反にあたると主張している。

このほか、見積もりの有効期限が発行日当日に限られ、十分に検討する時間がなかったともうったえている。

さらに原告の1人は、データ復旧とあわせて月額約5万5000円のクラウドサービスを1年間契約し、一度も利用しないまま計約68万円を支払ったという。

●「3分以内に決めれば値下げ」契約を急がされたと証言

10月14日に開かれた原告側の会見には、原告の男性2人が出席し、契約時のやりとりを振り返った。

外付けハードディスクの復旧を2023年10月に依頼し、14万3000円を支払ったという東京都の50代男性は、料金の高さにためらっていたところ、「3分以内に決断してくれればさらに値下げする」と会社側から提案されたという。

「この機会逃したら元の値段に戻しますからね」などと、決断を迫られたと話した。男性は、今回の提訴に踏み切った理由について「第1には社会正義です」と語った。

一方、パソコンとスマートフォンのフォレンジック調査を依頼した神奈川県の40代男性は、サイバー攻撃を受けていると感じ、2023年1月に同社へ調査を依頼した。

51万7000円を支払ったが、このうち13万2000円はのちに返金されたという。

しかし、具体的な調査内容や使用するツールなどについて説明はなく、会社とのやりとりは「お金の交渉がほとんど」だったと振り返った。

●亡き母親の写真を取り戻したかった「私の中で母は2度死んだ」

今回の原告の中には、亡くなった母親の写真を復元しようとした男性もいる。

沖縄県の男性は2025年8月、スマートフォンのデータ復元を依頼し、25万800円を支払った。しかし、望んでいた写真を取り戻すことはできなかったという。

男性は10月14日の会見を欠席したが、代理人の山中眞人弁護士がコメントを代読した。

男性は「私の中で私の母は2度死んだ」とコメントし、その理由が初期診断にあるとした。

男性は、どのような作業がおこなわれたのかを確認するため、同社に作業報告書の作成を求めた。しかし、同社からは「技術情報の観点から」提出は難しいと伝えられ、具体的な作業内容もわからないままだという。

●過去には別の利用者と和解、報道を見た6人が提訴

今回の訴訟には、過去の和解報道がきっかけになったという経緯もある。

山中弁護士は今年6月、同社を相手にした別の訴訟について、原告の女性とともに記者会見を開き、請求を全面的に受け入れる内容で和解したと明らかにしていた。和解金額は公表されていない。

ただし、同社は当時、弁護士ドットコムニュースの取材に「和解にあたっては原告の主張を認めたものではございません」と回答していた。

山中弁護士によると、今回提訴した6人は、この和解を報じた記事を見て連絡してきたという。

(弁護士ドットコムニュース・塚田賢慎)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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