今年5月に始まった茨城県の「不法就労通報報奨金制度」。不法就労に関する通報が摘発などにつながった場合、報奨金1万円を支払う仕組みだが、外国人らの人権問題に取り組む民間団体からは「密告を奨励している」といった反対の声も上がっている。
では、寄せられた通報を県はどのように扱い、警察とどう連携しているのか。
弁護士ドットコムニュースが情報公開請求で入手した行政文書からは、県の担当者がインターネットで事業者の所在地を調べたり、現地を巡回したりして、通報内容を確認する様子が浮かび上がった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●余白に「Googleマップで確認済み」のメモ
今回、開示されたのは、5月11日から7月末までに寄せられた85件の通報一覧や、このうち県が県警に提供した32件分の通報内容、添付資料などだ。
通報に使われる「不法就労情報提供システム」の入力画面を印刷したとみられる文書には、「事業者(雇用主)に関する情報」「所在地」「代表者名、現場責任者名」「業種、事業内容」「稼働場所」「雇用経路」「他の機関への通報の有無」などの記入欄が設けられていた。
目を引くのが、通報された事業者の「所在地」欄に残された手書きのメモだ。
「Googleマップで確認済」「マップでは未確認だが、インターネットでは同住所にあることになっている」
こうした書き込みが複数確認された。
県の担当者が、インターネット上の情報を使い、通報された事業者の所在地を確認している様子がうかがえる。
茨城県が開示した文書には「報奨金の受領希望」を選ぶ欄もあり、32件中24件が「希望する」だった(2026年10月、弁護士ドットコムニュース撮影)
●警察に提供された32件、うち24件が「報奨金を希望」
県に寄せられた通報のすべてが、警察に提供されるわけではない。
県に取材したところ、どのような基準で警察に情報提供するかについては、「明らかにできない」との回答だった。
一方、「不法就労情報提供システム」には、通報者が報奨金の受け取りを希望するかどうかを選択する欄がある。
開示文書をもとに集計したところ、県警に提供された32件のうち24件で「希望する」が選択されていた。
ただし、7月末時点で実際に報奨金が支払われたケースは1件もなかったという。
開示された文書からは、通報のあった現場を巡回した様子がうかかえる(2026年10月、弁護士ドットコムニュース撮影)
●現場の巡回、通報者への聞き取りも
開示文書には、県の担当者が作成したとみられる「聴取結果メモ」と「巡回結果メモ」も含まれていた。
「聴取結果メモ」には、通報者の住所、氏名、生年月日のほか、「質問事項について」という欄が設けられていた。
余白には「今後も県・県警 協力可能」との手書きの記載もあった。通報者が県や県警への協力に応じる意向を示していたことがうかがえる。
また、「巡回結果メモ」には、「巡回日時」「巡回先」「巡回結果」「周囲からの確認状況」「確認結果」などの項目があった。
県の担当者が通報のあった現場に足を運び、周辺の状況などを確認していることが読み取れる。
開示文書には、茨城県が茨城県警に情報提供した内容についても記載があった(2026年10月、弁護士ドットコムニュース撮影)