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災害弔慰金の不支給「理由を書面で示して」日弁連が被災4県の自治体に要望
日弁連副会長の岩渕健彦弁護士(左)と事務次長の近藤健太弁護士

災害弔慰金の不支給「理由を書面で示して」日弁連が被災4県の自治体に要望

熊本地震や東日本大震災で被災し、その後死亡した人の遺族に対する災害弔慰金を不支給とした理由が十分に示されていないとして、日本弁護士連合会(日弁連)は3月22日、結論にいたる過程を具体的に示した通知書を遺族に交付するよう求める意見書を、熊本県、宮城県、福島県、岩手県内の市町村に提出したことを発表した。

災害弔慰金は、災害により死亡した人の遺族に対して、自治体の条例に基づいて支給される見舞金制度。災害によって亡くなった人の遺族のほか、避難生活での体調悪化が原因で亡くなった場合など「災害関連死」と認定された人の遺族にも支給される。

遺族の申請にもとづいて、被災地の市長村が支給対象かどうかを判断するが、審査結果を通知する方法について統一的な基準はない。そのため、市町村によって対応にばらつきがあり、「地震による因果関係が認められない」など抽象的な理由しか示さないケースや、口頭での説明しかしないケースなどが後を絶たないという。

意見書では、災害弔慰金の支給申請に対する不支給決定は行政処分にあたるため、行政手続法に則った運用が求められると主張している。具体的には、不支給の決定をする場合には、その理由を具体的に、書面によって示すことなどを求めている。

日弁連副会長の岩渕健彦弁護士は、3月22日に東京・霞が関の弁護士会館で開いた記者会見で、「遺族からすれば、愛する人が亡くなった原因が病気なのか、それとも災害なのかというのは非常に大きな点だ。(災害弔慰金の制度は)お金の問題だけではなく、遺族への精神的な慰謝の部分が大きい」と指摘。

「不支給の決定に納得できず不服を申し立てようにも、結論にいたった経緯がわからなければ困難だ。(現在の運用は)遺族の思いを無視するに等しい」と運用の改善を訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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