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日本は「就職氷河期世代」に手を差し伸べるべき…労働者の立場弱く、OECD局長が懸念
OECD雇用・労働・社会政策局のスカルペッタ局長(4月下旬、東京都内)

日本は「就職氷河期世代」に手を差し伸べるべき…労働者の立場弱く、OECD局長が懸念

OECD雇用・労働・社会政策局のステファノ・スカルペッタ局長が4月下旬、東京都内で弁護士ドットコムニュースなど複数のメディアを招き、労働市場の世界的な状況や日本は相対的にどのような状況にあるかについて説明した。

AIなど技術の進歩により、従来型の労働が取って代わられ、大量失業が起こる可能性について、スカルペッタ局長は「技術進歩による大量失業は起こりそうもないが、多くの仕事には変化が伴う」。一方、就職氷河期世代を助けるために重点投資すべきとの考えを示した。(編集部・下山祐治)

●「低スキル」層の生涯学習に高い壁

OECDの分析では、日本では仕事の15%が完全に自動化される恐れがあるという。ただ、これはOECD平均とさして変わらない。一方で、日本では一度会社に勤めると、それ以降に職業訓練を受ける機会が少ないことが問題だとした。

労働市場の変化に対応するためには、個々人が十分な生涯学習をできることが理想的だ。にもかかわらず、日本の社会人が仕事に関わる学習に参加した割合は35%で、OECD平均の41%を下回った。

そのうえで、さらに問題が大きいのは、日本の社会人のうち「低スキル」の層が仕事に関わる学習に参加した割合は、13.5%まで低下するということだと指摘した。スカルペッタ局長は「低スキルの労働者の訓練へのアクセスを拡充するべきだ」と話した。

●正規と非正規の格差なくすべき

また、記者からは、1990年代半ばから2000年代前半とされる「就職氷河期」に社会人となった「就職氷河期世代」について、日本政府はどう対応すべきかとの質問も出た。

スカルペッタ局長は「明らかに彼らに的をしぼっていくべきだ。投資をして、教育・訓練をしていくことが不可欠だ」と語った。

このほかスカルペッタ局長は、日本では労働組合の組織率が低下傾向にあり、使用者と労働者の間の力が「不均衡」である点を挙げた。

「我々が提言していることは、格差をなくしてほしいということ。『equal pay for equal work』(同一労働同一賃金)が大事で、正規と非正規の格差はなくすべきだ」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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