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「検察が隠す中に無実の証拠がある」再審法改正案、獄中からも批判や不安の叫び「私は絶対やってない」
青木惠子さんに届いた、無実をうったえる受刑者からの手紙(弁護士ドットコムニュース撮影)

「検察が隠す中に無実の証拠がある」再審法改正案、獄中からも批判や不安の叫び「私は絶対やってない」

「私の発言なんて書かなくて結構です」

1995年に大阪市東住吉区で女の子(当時11歳)が焼死した「東住吉事件」をめぐって、殺人罪などで無期懲役が確定し、その後、刑事裁判のやり直し「再審」で無罪となった青木惠子さんは、目の前の記者たちにうったえた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●「まだ闘っている仲間が獄中にいる」改正案に危機感

現在、再審制度を見直す刑事訴訟法の改正案が国会で審議されている。

しかし、検察側が持つすべての証拠が開示される仕組みがないなど、問題点が多く、「このままでは冤罪の被害者を救えない」と批判が集中している。

この状況について、青木さんは7月1日、東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた会見で、「良い法律になるわけでなく、法務省が改正を必死に邪魔しているのが現実です」と述べたうえで、こう強調した。

「まだ闘っている仲間が獄中にたくさんいるんです。1人でも多く、彼らの名前をぜひ書いてほしい。そして、『誰のための再審法改正ですか?』と問いかけてほしい」

無実をうったえる受刑者や出所者、遺族らの声について、青木さんが彼らとの文通を通じて取りまとめた意見の一部を紹介する。

画像タイトル 記者会見で「私の発言なんか書かなくていい」と話す青木惠子さん(2026年7月1日/東京・霞が関の司法記者クラブ/弁護士ドットコムニュース撮影)

●「私は絶対やっていません」豊川幼児殺人事件・田邉雅樹さん

「私は絶対やっていません。10年前に再審を申し立てましたが、一度も三者協議は開かれることなく終わってしまいました。一度再審開始が決まったら、絶対に抗告は禁止してほしいです」

●「法の不備が検察の不正義許してきた」狭山事件・石川一雄さんの妻・早智子さん

「夫は『証拠を開示してほしい』と訴え続けながら、それがかなわず、志半ばで無念の死を遂げました。検察官が証拠開示に応じないなど、検察の不正義を許してきた原因が現在の再審法の不備だと強く感じています」

●「無実の訴えを目的外使用と言うな」鈴鹿殺人事件・加藤映次さん

「疚(やま)しい物が無く有罪に絶対的な自信があるというのなら、全て(の証拠)を開示しても何の問題もないはずです。証拠の目的外使用についても、無罪方向の証拠を外部に公表されて都合が悪いのは検察だけです。無実の訴えを"目的外使用"などと言われたくない」

●「隠している証拠の中に…」花田郵便局事件・ジュリアスさん(仮名)

「検察官が、隠している証拠の中に、私の無実の証拠があります。この事件で犯人にされたことで、私はいつ強制送還されてしまうのかと、入管に行く度にドキドキして怖いです」

●「無実を叫び続けることを想像して」京都放火殺人事件・平野義幸さん

「えん罪を訴えることは、反省していないとみなされ、あからさまに理不尽な処遇を強要する職員もおり不利益をこうむることも少なくありません。少しでいいので想像してみてください。その中に身を置き20年以上無実を叫び続けることを。そしてこれからも、それを続けなければならない生き様を」

●「国選弁護に準じた制度を」覚醒剤乳児殺害事件・吉村天翔さん

「最も訴えたいのは、国選弁護人制度に準じた弁護人制度の創設です。抗告や証拠開示などが改正されたとしても弁護人が不在だと元も子もありません。再審請求する際の書類の作成も困難です。この点を強く望みます」

画像タイトル 会見で、無実を晴らせないまま亡くなった夫・石川一雄さんの遺影を前に、思いを代弁する妻の早智子さん(2026年7月1日、東京・霞が関の司法記者クラブで、弁護士ドットコムニュース撮影)

●「検察官の調書だけで有罪確定」小学校で起きた事件・Jさん

「私の冤罪では、そもそも事件が存在しません。捜査機関が子どもを誘導して存在しない被害を作り、法廷で子どもが宣誓した上で被害事実そのものを否定しても、まったく裏打ちの無い検察官の調書だけで有罪が確定しています。当事者だけではなく、巻き込まれた人全員を冤罪は不幸にします」

●「検察の行為を審査する法律が必要」金沢主婦殺害事件・岩尾康貴さん

「金沢地検に証拠の開示請求をしたところ、『その証拠は裁判所にある』とあからさまに嘘をつき、請求手続きを行いませんでした。検察の行為が正当なものなのかどうか、審査する法律が必要です」

●「再審のための証拠閲覧を自分でできない」滋賀・堺監禁致死事件・井坪政さん

「再審をするために、検察が保管している証拠の閲覧・謄写をしようと思っても、自分ではできない。仮に謄写できたとしても、刑務所の規則で領置できる私物の量は制限されている。目的外使用の禁止があるから、支援者や家族に宅下げして保管すらできないから、結局廃棄させられてしまう」

●「やっていない罪で刑務所で犯罪者扱い」青木崇さん

「主権者であり、冤罪被害の当事者が何度も法務省に対し、再審請求に係るシステムの整備を懇願してきたにも関わらず、法務省は検討もせず、無視し続けている。やってもいない罪で刑務所では犯罪者扱いされる精神的苦痛と苦悩」

●「悔しくて夜も眠れない日がある」筑紫野山中射殺事件・中原義生さん

「検察の抗告の全面禁止と証拠の全面開示だけは実現していただきたい。私のような作り話の事件で有罪になる、あまりに理不尽です。私は悔しくて夜も眠れない日があります。今回の再審法改正で、人を救える法律にしてください」

●「えん罪犠牲者にとって生きる術なし」琵琶湖バラバラ殺人事件・杠共芳(ゆずりは・ともよし)さん

「刑事は嘘、作為、誘導、捏造はお手の物です。法とは間違いを正すのが正解でないではないでしょうか。刑事、検事の悪行の元にえん罪が生れていることを理解されたいと思います。現法ではえん罪犠牲者にとって生きる術はありません」

画像タイトル 青木さんに届いた、無実をうったえる受刑者からの手紙。再審法改正案に対する懸念や不安が綴られている(弁護士ドットコムニュース撮影)

●「検察の権力が強すぎる」島岡丞さん

「私はお金がなく、弁護士を雇えません。泣き寝入りするしかない状況です。弁護士を雇えない場合、受刑者自身が裁判所に行き、再審請求審ができるようにして下さい。検察の権力が強すぎです」

●「検察のための改正案だ」仙台北陵クリニック冤罪事件・守大助さん

「冤罪犠牲者の救済が忘れ去られ、『再審開始させない』検察のための、改正案になっています。検察の言いなりで法案を了承するなら、政治はいらない。自身が、家族が、友人が、そして大切な人が、冤罪に巻き込まれた時に、この改正案で救えますか。どうか見直し、修正に踏み込んで下さい」

●「無実を訴え無念の獄死」名張毒ぶどう酒事件・奥西勝さんの妹・岡美代子さん

「兄は2015年に獄中で無実を訴えながら無念の獄死をすることとなりました。いったん再審開始決定が出されても、異議申し立てや特別抗告がされ、審理が長期にわたり獄中で命を落とすことになりました」

●「人間が作った法律に完全はない」今市事件・勝又拓哉さん

「人間の作った法律に、完全無欠のものはありません。証拠の開示によって、法が不安定になるなら、それは、もう元の法に、重大な欠陥があるとしか、言いようがないと思います。冤罪と直面した被害者のための法を、どうか作って下さい。何卒、何卒宜しくお願いします」

●「何よりも重要なのは証拠の全面開示」小石川事件・伊原康介さん

「誰のための、何のための改正なのでしょうか。冤罪被害者のためなら、法務省の意見ではなく、私たちの意見、思いに則した改正を行ってください。そのために何よりも重要なことは、証拠の全面開示です。無実の人が有罪にされてしまう最大の要因は、数多くの無罪方向の証拠が隠されていることです」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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