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「役職つけるから残業代なしね」名ばかり管理職になって収入減、どうしたらいい?
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「役職つけるから残業代なしね」名ばかり管理職になって収入減、どうしたらいい?

会社から「役職をつけるから残業代なし」と言い渡され、結果的に収入が減ってしまったーー。インターネットのQ&Aサイトにこんな相談が寄せられた。

投稿者によると、肩書きは変わったものの仕事内容はほとんど変わらず、重い物を動かす現場作業が中心だという。仕事の終わるタイミングなどは自分で決められるようになったそうだ。役職手当2万円がつくようになったものの、残業代が払われなくなったため、トータルで収入が減ってしまったという。

このような「名ばかり管理職」になってしまった場合、どう会社側に要求すればいいのか。村松由紀子弁護士に聞いた。

●「名ばかり管理職」は残業代を請求できる?

「会社の意向で管理職に就任したものの、仕事内容や待遇に変化がないばかりか、実質減給となれば、給料を元の額に戻してほしいと思うのは、当然でしょう。

ただ、会社による『昇格』の判断については、会社に幅広い裁量権が認められています。その役職に応じた『賃金制度』についても、就業規則等の合理的根拠に基づいているのであれば、適法と判断されます。従って、これらの点について会社に異議を述べるのは難しそうです。

次に『残業代なし』の部分ですが、この点については、相談者が労働基準法にいうところの、『管理監督者』にあたらなければ(すなわち『名ばかり管理職』であれば)、異議を唱えることが出来ます」

自分が、「管理監督者」ではない。つまり「名ばかり管理職」かどうかは、どのように判断されるのだろうか。

「裁判実務は、(1)経営や人事に関する重要な権限の有無、(2)自己の出退勤をはじめとする労働時間についての裁量権の有無、(3)管理監督者にふさわしい待遇の有無、といった点から管理監督者にあたるかを判断しています。

相談者の場合、(1)〜(3)の基準に照らすと、管理監督者ではないと判断される可能性が高いでしょう。なお、「役職手当」は残業の基礎となる賃金に含まれることから、残業代が支払われれば、相談者の給料は以前より増えることとなります。

会社に、『残業代なし』は法律に反していることを、きちんとお話しすることをお勧めします」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

村松 由紀子
村松 由紀子(むらまつ ゆきこ)弁護士 弁護士法人クローバー
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士4名、行政書士1名が所属。企業法務を得意とする。その他、交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題を幅広く扱う。

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