テレビ朝日系で3月1日に放送されたトーク番組「新婚さんいらっしゃい!」に、「兄と妹」という異色の新婚カップルが登場し、話題をよんだ。2人は血のつながりがないが、それぞれの親の再婚によって、義理の兄妹(きょうだい)になった。兄が23歳、妹が13歳だった10年前から、一つ屋根の下で暮らしていたという。
恋愛関係になったのは2年前のことだが、妹は兄と初めて会ったときに「お兄ちゃんとの禁断のストーリーが始まるんだ!」と、少女マンガのような恋愛を思い描いて、胸をときめかせたそうだ。
番組はネット上で大きな話題となり、「戸籍上の兄妹でも結婚できるんだっけ?」「血縁関係じゃなければいいんだ」など、兄と妹でも結婚できる、という事実について驚きの声があがっていた。
たしかに血のつながりはないわけだが、義理の兄妹でも問題なく結婚できるのだろうか。家族の法律問題にくわしい田村ゆかり弁護士に聞いた。
●血のつながりがある場合
「結婚できるかどうかについて、民法のルールは複雑なので、基本的なところから説明しましょう。
まず、ひとくちに『親族』といっても、結婚できるかできないかは『血のつながり』によって大きく変わってきます。
血のつながりのある関係のことを『血族』と呼びます。なお、養子は、血のつながりはありませんが、法律上は血族として扱われます。
親と子、祖父母と孫・・・といったタテの血族関係は『直系血族』と呼ばれています。直系血族同士の結婚は、すべて禁止されています。
一方、兄妹やおじ、おば、おい、めいなど、直系以外の血族関係は『傍系血族』と呼ばれ、血のつながりが遠ければ結婚できます」
血のつながりが遠いというのは、どういうことか?
「血のつながりが近いか遠いかについては特殊な数え方があって、子→親の関係を『1親等』という単位で数えます。
兄と妹の関係は『2親等』です。いったん親を経由し、兄→親(1親等)→妹(2親等)となるためです。つまり、兄弟姉妹は2親等、おじ、おば、めい、おいは3親等です」
血のつながりがどれほど遠ければ、結婚できるのだろうか?
「傍系血族同士の結婚が許されるのは、『4親等』以上となります。
具体的には、『いとこ』より遠い場合ですね。いとこが4親等なのは、自分→親(1親等)→祖父母(2親等)→親のきょうだい(3親等)→いとこ(4親等)となるためです。
ただ、例外的に、養子は『3親等』以内の傍系血族とも結婚できます」
●義理の兄妹はどうなる?
今回のケースはどう考えればよいだろう?
「さきほどの『血族』とは別に、結婚(婚姻)をきっかけにできる関係のうち、自分と配偶者の血族との関係あるいは自分の血族と配偶者との関係は『姻族(いんぞく)』と呼ばれます。
姻族関係は、必ず配偶者がからみます。こちらにも、直系と傍系があります。
夫からみた場合、妻の父母や祖父母といった直系血族が『直系姻族』となります。また、妻のきょうだいやおじ、おばなどの傍系血族が『傍系姻族』となります。
『直系姻族』とは結婚できません。たとえ姻族関係が解消された後でも、結婚は不可能です。たとえば、ある夫婦が離婚した後に、元夫が、元妻の連れ子(義理の娘)と結婚しようとしても、認められません。
一方で、『傍系姻族』同士は、結婚することができます。
今回の2人は、それぞれの親の結婚をきっかけに知り合っていますが、配偶者のからまない関係です。つまり、2人は身分関係上は他人のため、問題なく結婚できるというわけです」
※「今回のケースをどう考えればよいだろう」以下の文章を修正しました(2016年4月5日 15:45)