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エホバや統一教会など宗教2世の当事者ら8団体が集結 心の問題への支援や理解求める
立正大品川キャンパスで開かれた宗教2世に関するシンポジウム(2023年8月26日、弁護士ドットコム撮影)

エホバや統一教会など宗教2世の当事者ら8団体が集結 心の問題への支援や理解求める

シンポジウム「宗教・カルト『二世問題』にどう取り組んでいくのか?」が8月26日、東京都内の立正大品川キャンパスで開かれた。エホバの証人や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の2世らでつくる当事者団体など8団体が集まり、宗教2世の支援に向けた現状や今後の課題について話し合った。

同大教授の西田公昭氏が代表理事を務める日本脱カルト協会の主催。同協会では1995年の設立以降、2世問題に古くから取り組んでいる。西田教授は「安倍元首相の銃撃事件が昨年に起きてから、当事者団体が増えてそれぞれ発信している。一堂に会することで、各団体を支えていく認識を共有したい」とあいさつした。

●ネットを通じた相談が増加

今年設立された「一般社団法人宗教2世支援センター陽だまり」では、3〜8月までで約200件の相談を受けたと説明。現在は、SNSやメールなどを利用しているが、年内には対面相談を始めたいとした。

主にオンライン上で複数の自助グループを主宰している横道誠京都府立大准教授は、自身もエホバ2世。銃撃事件以前の2020年から始めた「宗教2世の会」は51回を数え、延べ375人が参加している。

横道氏は、2世には精神医療による支援が必要だが、「宗教的虐待」「宗教的児童マルトリートメント(不適切な扱い)」などという諸外国の考え方が、日本には取り入れられていないことを問題視。「心と脳が壊れているのにカウンセリングに採用されていない」と話した。

また、2022年末に成立した不当寄付勧誘防止法が、当初「被害者救済法」と報じられたことについて「最悪だった。2世の救済には関わらない内容です」とし、「宗教被害」を射程とした未来に向けた法整備が実現するかどうか憂いがあると述べた。

●「学校や行政はもっと積極的に関わってほしい」

このほか、脱会後の就職を支援する団体や、食事や旅行をするオフ会を定期的に開催する団体からの発表があった。

8団体の代表らによるパネルディスカッションでは、相談体制をボランティアに頼らざるを得ない実態が示された。行政機関は、宗教を背景とした相談には躊躇しがちだとの指摘があり、子どもたちのニーズをくみとるには、スクールカウンセラーや学校の先生が積極的に関わる必要性があるとの意見が出た。

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