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住友林業の50代店長が過労自殺 月105時間の残業などで精神障害に、労災認定
会見した代理人弁護士(東京・霞が関の厚労省記者クラブ、2022年2月9日、弁護士ドットコム撮影)

住友林業の50代店長が過労自殺 月105時間の残業などで精神障害に、労災認定

住友林業(東京都千代田区)に勤務していた当時51歳の男性が2020年12月に自殺したのは、長時間労働などが原因だったとして、新宿労働基準監督署(東京都新宿区)が2021年12月23日付で労災認定した。代理人が2月9日、会見を開いて明らかにした。

遺族は「休日で珍しく家にいる日でも会社から貸与されている携帯電話はいつもなりっぱなしで、夫には休む暇や家族との時間もほとんどありませんでした。当時の上司を含め、住友林業が何も責任を感じていないことに憤りを感じます」とコメントを出した。

●顧客や近隣住民からのクレーム対応も担当

代理人弁護士によると、男性は住友林業に営業職として新卒入社し、支店勤務後、2019年4月から東京中央支店(東京都新宿区)営業グループの店長として、新規契約の獲得や敷地調査の立ち合いなどを行っていた。

住宅展示場などさまざまな場所に移動する必要があり、宇都宮や軽井沢、熱海、山中湖などにも自ら運転する自動車で移動していた。ノルマ達成のための部下指導や顧客・近隣住民からのクレーム対応も担当しており、休日もほとんど休める時間はなかったという。

男性は2020年6月ごろから睡眠障害などの症状が現れ始め、体重が減ったり薬を大量に飲み込んだりしていた。

●「従業員に過剰な目的達成を強いた会社の責任は重大」

労基署は、男性が2020年12月5日には精神障害を発病していたとし、発病前6カ月の残業時間を51〜105時間と認めた。発病4カ月前からの業務量増加や13日間の連続勤務についてそれぞれ心理的な負荷の程度を「中」とし、総合評価を「強」と評価した。

代理人の川人博弁護士は「労災申請から比較的早期の7カ月で業務上認定したことは正当である。ただ、実際の労働時間と比べると過小な認定で、上司からのパワハラなどについて詳しい調査をしなかったことは残念だ」と話した。

また、会社の体制について「コロナ禍でも予算を下げず、従業員に過剰な目的達成を強いた会社の責任は重大。日本の注文住宅業界ではトップレベルの会社において、犠牲者が出たことについて、大変重大であると考えている」と指摘。今後会社と再発防止策などについて交渉を進めるという。

●会社側のコメントは

住友林業は弁護士ドットコムニュースの取材に「現時点で労災の内容について把握していないので、詳細については差し控えさせていただくが、労災認定されたことについては承知しています。亡くなったことに対して、当社として重く受け止めており、故人のご冥福をお祈りするとともに、遺族の方へのお悔やみを申し上げます。今後もご遺族に対して弊社としては真摯に対応して参りたい」とコメントした。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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