立ち食いそばチェーン「名代富士そば」を運営するダイタングループ(東京都渋谷区)で働く社員8人が12月25日、未払い残業代など計約9000万円の支払いを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。
今回労働審判を申し立てたのは、今年5月に結成された「富士そば労働組合」に加入する店長ら。これまで組合に加入する社員17人が同様の労働審判を申し立てている。
申立後に会見した店長は「『人こそが財産である』というメディアでおなじみの会長の考え方は今の会社には全くない。社員は使い捨ての駒だ」と訴えた。
●組合活動「すぐに110番通報」指示?
さらに、富士そば労働組合はこの日、係長の組合加入を妨げるような内容の文書を配布するなどしたのは、労働組合法で禁止されている「不当労働行為」に当たるとして、東京都労働委員会に救済を申し立てた。
富士そば労働組合によると、会社側は12月14日に「係長は労働組合法上の使用者の利益を代表する者に該当するため、労働組合に加入できないと考えている」といった内容の注意喚起をおこなったという。
また、会社側は各店舗に「労働組合による街宣活動防衛策」を配布し、会社付近で富士そば労働組合が街宣活動したり立ち入ったりした場合には、すぐに110番通報するよう指示したという。
「なのはなユニオン」の鴨桃代委員長は、「組合に認められている活動に対し、110番通報という指示をする会社は問題がある。労働組合は悪であるという考えに基づいた対応で、おかしいと声を上げなければいけない」と話した。
●会社側のコメントは
親会社の「ダイタンホールディングス」は弁護士ドットコムニュースの取材に、「労働審判申立書等が送達された後内容を精査し、適切に対応して参ります。係争案件ですので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます」と回答した。