8月13日に施行される「国旗損壊罪」。成立までの過程で、憲法学者や刑法学者、各地の弁護士会などから「思想良心の自由」や「表現の自由」を侵害するおそれがあるとして、強い批判が相次いだ。
中には「違憲無効とされるべきだ」「すぐに廃止すべき」という声もあがっている。さんざんな言われようだが、一方で、法律は13日に施行され、それ以降の行為には適用されてしまう。
では、いったい何をすれば処罰される可能性があるのか。「国旗」はどこまでを指し、お子様ランチの旗は結局どうあつかわれるのか。政治的、芸術的な表現として損壊した場合はどうなるのか。
実際の運用をめぐって疑問が残る中、法務省はホームページでQ&Aを公開し、具体的な考え方を示している。その中から、身近な疑問にかかわるものを中心に紹介する。
●制式に完全一致しなくても「国旗」
Q4 「国旗」とは、どのようなものを指しますか。
A4 「国旗」とは、「国旗及び国歌に関する法律」に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物を指します【法第1条】。
そのため、同法に定める日章旗の制式(寸法の割合及び日章の位置並びに彩色)に完全に合致していなくても、社会通念上、同法に定める日章旗として用いられているものであれば、「国旗」に該当すると考えられます。
●自作したものでも「国旗」になりうる
Q5 「国旗」に該当するものとして、どのようなものがありますか。
A5 学校行事等の公的な場に掲揚されている日章旗や、スポーツの応援の際などに用いられる日章旗の小旗のほか、自作のものであっても一見して日章旗と認識されるものは、「国旗」に該当すると考えられます。
●お子様ランチの旗は「国旗」に該当しない
Q6 お子様ランチの旗や日章旗が描かれたTシャツは、「国旗」に該当するのですか。
A6 お子様ランチの旗や日章旗が描かれたTシャツのように装飾として使われているに過ぎないものは、国旗として用いられていると社会通念上認められないため、「国旗」には該当しません。
●アニメ・漫画で描かれたものは該当しない
Q7 アニメ・漫画・ゲームにおいて描かれた日章旗や生成AIにより作成された日章旗は、「国旗」に該当するのですか。
A7 「国旗」は、有体物に限られるため、アニメ・漫画・ゲームにおいて描かれた日章旗や生成AIにより作成された日章旗は、「国旗」に該当しません。
●「著しく不快・嫌悪」とは?
Q8 「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」とは、どのような方法を指しますか。
A8 一般通常人から見て、ひどく快くないと感じさせ、又は不愉快に感じさせるような方法を指すと考えられます。
Q9 「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」に該当するかどうかは、どのように判断されるのですか。
A9 「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」に該当するかどうかは、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して判断するとされます【法第2条第2項】。
あくまでも、行為それ自体の客観的な態様やこれを取り巻く状況などを考慮して行うものであって、行為者が伝達しようとした表現やメッセージの内容を考慮して判断するものではないと考えられます。
●誤って損壊した場合は「処罰対象」とならない
Q13 誤って国旗を損壊等してしまった場合も処罰対象となるのですか。
A13 国旗損壊等罪は故意犯とされているため、誤って国旗を損壊等した場合には、同罪の処罰対象とはなりません。
●芸術的表現でも「違法性が阻却」される場合あり
Q14 政治的表現・芸術的表現として国旗を損壊等した場合も処罰対象となるのですか。
A14 政治的表現・芸術的表現として行われた国旗の損壊等が、国旗損壊等罪の構成要件に該当するとしても、刑法第35条の正当行為に該当して違法性が阻却される場合には、処罰対象とはなりません。
なお、国旗損壊等罪については、表現の自由等を不当に侵害することのないよう留意しなければならない旨の適用上の注意規定が設けられています【法第3条】。
●処罰対象と対象外を整理した資料も
Q15 国旗損壊等罪の処罰対象となる行為とならない行為を具体的に教えてください。
A15 国会審議の過程で、法案提出者から国旗損壊等罪の処罰対象となる行為とならない行為などが整理された資料が国会に提出されていますので、こちらを御覧ください。