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「勇気出してよかった」聴覚障害者の女性、職場の嫌がらせで裁判…オリックスと和解
手話で裁判を振り返る和田さん(右)と代理人の松田崚弁護士。松田弁護士にも聴覚障害がある(2020年3月4日、都内、編集部撮影)

「勇気出してよかった」聴覚障害者の女性、職場の嫌がらせで裁判…オリックスと和解

職場で嫌がらせを受けたなどとして、会社を訴えていたオリックスの正社員で聾唖(ろうあ)者の和田明子さん(48)が3月4日、厚労省記者クラブで会見を開き、和解が成立したことを明かした。

和解調書には、オリックスが今後、(1)聴覚障害のある従業員に対して、目標設定や評価の面談、重要な会議などで手話通訳者を手配する、(2)従業員に対して研修・講習を実施するーーなどの施策に取り組むことが盛り込まれた。和解は2月21日付。

障害者雇用促進法は、民間企業にも差別の禁止や合理的配慮の提供義務を求めている。和田さん側は、オリックスとの和解内容について「法律で企業に求められる合理的配慮を超えたような画期的な内容」と評価している。

●懲戒処分を受け、無期限の在宅勤務に

和田さんは生まれつき耳が聞こえず、手話や筆談を使って意思の疎通をしている。オリックスには1991年に入社し、事務職として入力作業などに従事してきた。

裁判では、まぶしいと訴えているのに、上司がブラインドを原則オープンにするよう指示したり、日よけとして設置されたパーテーションを同僚たちが揺さぶったりする嫌がらせを受けていたと主張していた。

また、パーテーションをめぐり、同僚とトラブルになった際は、自身だけが懲戒処分を受け、無期限の在宅勤務(現在まで約4年半)となっていたことも問題視していた。

●「絶対にやらないと」 勇気出し裁判に

和田さんは手話通訳者を介して、「これまで泣き寝入りをしたり、やめていったりした多くの聴覚障害者を知っている。絶対にやらないといけないと思って、勇気を出して提訴しました。本当に良かった」と振り返った。

なお、解決金の支払いの有無やハラスメントの有無についての事実認定などに関しては、取り決めにより、非公表になっているという。

オリックスは「裁判内容については詳しく話せないが、全社員の職場環境の向上に引き続き努めたい」とコメントした。

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