大阪地検トップだった北川健太郎元検事正が部下に対する準強制性交等罪で起訴された事件をめぐり、自民党の国会議員44人が7月16日、「組織刷新を拒むことは国民のさらなる検察不信を招く」として、法務省と検察庁に第三者委員会の設置を求める提言書を平口洋法務大臣に提出した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●法務省と検察庁の双方に第三者委員会の設置を提言
提言書では、ハラスメント行為を対象に、以下の5項目を要望した。
(1)検察及び法務省双方に第三者委員会を設置すること。 (2)第三者委員会の構成及び内容は、日弁連の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に従うこと。 (3)第三者委員会のメンバーは、客観的な視点を持つ第三者に限定し、検察・元検察・検察関係者(元検察官が所属する法律事務所の弁護士も同様とする)を除くこと。 (4)調査対象は、事務官、警察官、刑事施設・福祉施設職員、マスコミ記者(夜回り対応等)、退職者なども広く対象とすること。 (5)第三者委員会の調査はその手続き及び結果を国民に公表すること。
●要望を繰り返す間にも「新たな犠牲者が出た」
この事件をめぐっては、被害を申告した女性検事の氏名や事実無根の噂が検察庁内に広まり、同僚の副検事が捜査情報を漏えいして懲戒処分を受けるなど、二次被害ともいえる問題が相次いだ。
女性検事は、ほかにも被害者がいるおそれがあるとして、これまで法務省や検察庁に第三者による調査を繰り返し求めてきた。しかし、実現しないまま今年4月、辞表を提出した。
提言書では、16歳の少女が警察と検察による捜査を受けた後に命を落とした事案や、東京地検特捜部に在籍していた男性検事が捜査対象者との不適切な関係を持っていた疑いが明らかとなったことなどを踏まえて、「新たな犠牲者が出てしまいました」と、法務・検察を厳しく批判した。
●「刷新を拒めば、さらなる検察不信を招く」
法務省は6月、内部調査を実施する方針を表明した。しかし、提言書は「第三者による調査」が必要な理由を次のようにうったえた。
「勇気を出して告発した女性が希望を断たれて辞めなければいけないのであれば、後に続く被害者は名乗り出れなくなってしまいます。 本件は、単なる一人の検事正のセクハラ・パワハラの問題を超えた、組織全体の問題です。 起訴権限を独占することで、国家刑罰権の枢要部分を握っている検察庁が、自らの組織防衛のために、第三者委員会による調査をあくまでも阻止し、自己反省や組織刷新を拒むことは、国民のさらなる検察不信を招くでしょう」
平口法務大臣に提言書を提出した自民党の国会議員たち(2026年7月16日、東京都千代田区の法務省で、弁護士ドットコムニュース撮影)
●法務大臣、提言受け入れは明言せず
7月16日には、第三者による調査の実施を求める会を立ち上げた森雅子参院議員ら自民党の国会議員5人が法務省を訪れ、平口法務大臣に提言書を手渡した。
平口大臣は「提言は大変ありがたい」と述べつつも、内部調査を実施することなどを理由に提言を受け入れるかを明言しなかった。
提言書の提出後、森議員は報道陣に対し、「今も苦しんでいる女性たちがいるかもしれない。検察には手本を見せてほしい」と語った。