モデルのマリエさんがWEBメディア「Hint-Pot」のインタビューで家族との絶縁を告白。「戸籍を抜く決意をした」と語り話題を呼んでいます。
Hint-Potが7月15日に配信した記事によると、家族と絶縁したのは約6年前。マリエさんは、「『家族なんだから助けなきゃ』と思ってきました。でも、その度に裏切られて」と家族への思いを吐露。「自分の身を守る決断」として戸籍を抜く決意をしたと語っています。
SNSでは「戸籍を抜く」という手続きについて「どんなメリットがある?」といったコメントも見られました。「戸籍を抜く」ということは何を意味するのでしょうか。家族と縁を切りたいと考えた場合に有効な手段なのでしょうか。解説します。
●そもそも「戸籍を抜く」とは?
前提として、マリエさんの国籍が問題となるのですが、以下は日本国籍であることを前提とした解説です。
「戸籍を抜く」ということについて、具体的に何をしたのかをマリエさん自身が明らかにしたわけではないようですが、法律上は「分籍(ぶんせき)」と呼ばれる手続きとみられます。
成年(18歳)に達した人は、親などが筆頭者となっている戸籍を抜けて、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作ることができます(戸籍法21条)。
●分籍しても親子の縁は切れる?
「分籍」の効果はあくまでも戸籍が別になる、ということだけです。 法律上の親子関係はそのまま残ります。
戸籍は、家族関係を記録した公的な書類です。その記録上の枠を分けるだけで、法律上の親子の縁が切れるわけではない、ということです。
たとえば、子が親を相続する権利(民法887条)はなくなりませんし、親子の間で助け合う扶養義務(民法877条)も残ります。
日本の民法上は、実の親子の関係を法律上なくせるのは、原則15歳未満の子を対象とする特別養子縁組だけですし、この制度は子側から利用する制度でもありません。
成人が自分の意思だけで親子の縁を断つ方法は、今の民法にはありません。
●それでも「分籍」に意味はある?
このようにみてくると、「絶縁」を目的とするとはいっても、分籍は法的な効果を狙って行うものではありません。
以下は私見ですが、分籍により気持ちの区切りをつける、という精神的な意味合いが強いように思います。
あえていえば、扶養義務を定める際に、絶縁を意図して分籍をしたという事情が一定程度考慮される可能性はあるように思います。
たとえば、絶縁を意図して分籍をした後しばらく経って、親が分籍した子に扶養を求めてきたとします。
先に書いたように、分籍しても扶養義務はなくなりません。しかし、分籍までした経緯などが扶養義務の内容を決める際に考慮される可能性はあるように思います。
成人した子が親を扶養する義務は、自分の生活に余裕がある範囲で足りるとされています。 たとえば過去に親から十分に育ててもらえなかった、というような事情は、扶養の程度を決める際に考慮されることがあります(民法879条)。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)