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若手社員うつ病自殺、「上司の暴行」認定しながらも「労災不認定」取り消さず
遺族側の代理人をつとめる川人博弁護士(左)ら

若手社員うつ病自殺、「上司の暴行」認定しながらも「労災不認定」取り消さず

大手印刷会社につとめていた男性(当時27歳)がうつ病発症後に自殺した事件をめぐり、男性の両親が国に対して労災不認定処分の取り消しを求めて起こした訴訟の判決が6月22日、東京地裁であった。佐々木宗啓裁判長は、うつ病発症や自殺が「仕事が原因とは認められない」として、遺族側の請求を棄却する判決を言い渡した。

遺族側の代理人などによると、男性は大学院卒業後、2007年4月に大手印刷会社(東京)に研究・開発職として入社した。同年11月、病院で「うつ病」と診断され、2009年4月に社員寮で自殺した。

その後、労災が認められなったため、男性の両親が2013年7月、男性は「月100時間以上の時間外労働があった」「上司からパワハラを受けていた」などとして、国に対して労災不認定処分の取り消しを求める訴訟を起こした。

佐々木裁判長は判決で、うつ病発症から亡くなるまでの間、男性が上司から暴行を受けたことや、月113時間の時間外労働があったことを認めた。しかし、亡くなる6カ月以上前の出来事であることなどから、「仕事が原因とは認められない」と判断。遺族側の請求を退けた。

判決後、遺族側の代理人をつとめる川人博弁護士は東京・霞が関で記者会見を開き、「事実認定についてはおおむね納得しているが、肝心の評価が残念だった。うつ病発症から亡くなるまでの期間を総合的に判断してほしかった。控訴するかどうかは、遺族と十分相談する」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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