前触れなくいきなり解雇を通告され、翌日から会社への立ち入りを禁止される「ロックアウト(締め出し)解雇」を受けたとして、日本IBMの元従業員ら5人が同社を訴えていた裁判で、東京地裁(吉田徹裁判長)は3月28日、解雇の無効と賃金の支払いを命じる判決を出した。
東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告代理人の水口洋介弁護士は「日本の解雇法理を理由にして、(IBMの本国)アメリカの解雇自由に歯止めをかけた画期的な判決だ」と話した。
原告側によると、日本IBMで働いていた原告5人は2012年から2013年にかけて、具体的な理由を伝えられないまま「ロックアウト解雇」を受けたという。日本IBMからは、数日以内に自主退職に応じれば、退職金を上乗せするなどとの提示があった。しかし、5人は会社の提案に応じず、解雇の無効や期間中の賃金の支払い、慰謝料などを求めて提訴した。
東京地裁は、5人について一部業績不良が見られたとしつつも、解雇すべきほどのものではなく、会社側が職種の転換などの手段を講じるべきだったと判断。解雇は客観的に合理的な理由を欠き、「権利濫用として無効」とした。ただし、給与の支払い等を理由に、損害賠償請求は認めなかった。また、会社が解雇通告と同時にロックアウトしたこと自体は違法ではないとした。
判決を受けて、原告の50代男性は「もしも会社の思惑通りに行っていたとしたら、(今回のような解雇を)うちもやろうというところが出てくる可能性があったので、それを止められたのはいいことだったなと思う」と語った。
日本IBMの広報担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「今回の判決において当社の主張が認められなかったことは、誠に遺憾です。当社は、今回の判決内容を精査し、今後の対応を検討していきます」と文書で回答した。