「就職面接の前後に胸を触られ、ホテルに誘われた」
弁護士ドットコムには、就職活動中にこうした被害を受けたという相談が寄せられている。相手は行為自体を認めながらも「セクハラではない」と主張しているという。
立場の弱い就活生につけこむ「就活セクハラ」が後を絶たない。
毎日新聞(10月21日配信)によると、北海道の男性職員がインターンに参加した女子学生とLINEの連絡先を交換し、メッセージを送り、食事に誘ったり、交際を迫ったりなどしたという。
女子学生は断ったが、男性はさらに連絡を重ねたそうだ。道は「就活セクハラ」にあたる可能性があるとして処分を検討している。
こうした問題を受けて、10月1日に施行された改正男女雇用機会均等法では、企業に対し、求職者へのセクハラを防止するための措置が義務づけられた。
就職活動中のどんな行為がセクハラにあたるのか。法改正で何が変わり、被害に遭った学生はどうすればいいのか。労働問題にくわしい今井俊裕弁護士に聞いた。
●食事の誘いや交際の要求も「就活セクハラ」に?
──どのような行為が「就活セクハラ」にあたりますか。
就活セクハラとは、(1)求職者の意に反する性的な言動により、(2)求職活動等が阻害されることをいいます。
「性的な言動」には、これまで一般に「セクハラ」と呼ばれてきた行為が、ほぼそのまま当てはまると考えられています。
対象となるのは、就職活動中の学生だけではありません。インターンシップや実習に参加する学生なども含まれます。
今回報じられたように、インターンシップに参加した女子学生に対し、LINEで食事に誘ったり、交際を迫ったりする連絡を繰り返す行為は、明らかにセクハラでしょう。
●10月から企業に防止措置を義務化、何が変わった?
──10月の法改正で何が変わったのでしょうか。企業側にはどんな対応が求められますか。
就職活動中やインターンシップ中の学生に対するセクハラは、以前から問題視されていました。
しかし、これまで企業に義務づけられていたセクハラ防止措置は、基本的に、すでに雇用契約が成立している自社の従業員を保護するためのものでした。
採用面接を受ける求職者や、インターンシップ、OB・OG訪問などに参加する学生は、こうした義務の対象から外れていたのです。
今回の改正法施行によって、企業がセクハラ防止措置を講じるべき対象が、就職活動中の人にまで広がりました。
改正法と指針では、相談窓口を設けて適切に対応することや、相談を受けた際に事実関係を確認し、必要な対策をとることなどが求められています。
また、相談者のプライバシーを保護することも求められています。
●被害に遭ったら?大学や労働局への相談も
──就活セクハラの被害に遭った学生は、どうすればいいのでしょうか。
まずは、その企業の相談窓口に相談することが考えられます。
ただ、就職を希望する学生にとって、採用する側の企業に被害を訴えるのは簡単ではないでしょう。
相談しにくい場合は、大学のキャリアセンターや都道府県労働局に相談する方法もあります。
企業側も、学生が安心して相談できる体制を整える必要があります。
たとえば、大学のキャリアセンターから被害の連絡を受けた場合に、どのような対応をするかをあらかじめ決めておくことが重要です。
また、採用担当者らが求職者とやりとりするLINEなどのアカウントを会社指定のものに限定し、管理職がやりとりの内容を適切に確認できる仕組みを設けることも、検討すべきでしょう。