ピアニストの反田恭平さんが、首都高速道路を制限速度より84キロ上回る時速144キロで走行したとして、道路交通法違反の罪に問われた裁判で、東京地裁(林欣寛裁判官)は10月29日、拘禁刑3カ月、執行猶予2年(求刑:拘禁刑3カ月)を言い渡した。
弁護側は、拘禁刑を言い渡されると海外での活動に支障が生じる可能性があると訴えていた。
しかし、裁判所は「ピアニストとしての活動自体が一切できなくなるわけではない」と指摘。こうした事情を量刑で考慮することには「限度がある」として、罰金刑ではなく拘禁刑を選択した。
●制限速度60キロの首都高を144キロで走行
判決要旨によると、反田さんは2025年12月20日午後8時54分ごろ、東京都目黒区中目黒の首都高速中央環状線内回りで、制限速度が時速60キロの道路で、普通乗用車を時速144キロで運転した。
東京地裁は、速度超過の程度が大きく、「重大な事故につながりかねない危険な犯行」と指摘。速度超過について「特に緊急性等も認められない」とした。
そのうえで、反田さんの刑事責任について「決して軽いものではなく、原則として拘禁刑を選択すべき」と判断した。
●海外での活動に支障も「量刑上考慮することには限度」
拘禁刑を言い渡されると、海外での活動に支障が生じる可能性がある──。
弁護側はそう主張していたが、裁判所は「ピアニストとしての活動自体が一切できなくなるわけではないことからすると、そのような事情を量刑上考慮することにも限度がある」と述べた。
一方、反田さんが犯行を認め、贖罪寄付をするなど「真摯な反省の念を示している」ことや、タクシー会社に運転手の派遣を申し込み、今後は自ら運転しないための措置を講じていることなどは、有利な事情として考慮した。
また、前科がなく、速度超過で検挙されたのも今回が初めてだった。
ただし、東京地裁は、これらについて「一般情状であり、選択すべき刑の大枠を変えるものではない」と指摘。
「被告人のために考慮すべき情状を最大限考慮しても、拘禁刑をもって臨まざるを得ない」
こう述べて拘禁刑を選択したうえで、執行猶予を付けるのが相当と結論づけた。
●奈良県の文化政策顧問を辞任
反田さんは10月9日、自身の公式サイトに「御詫びと御報告」と題した文章を掲載していた。
この中で、奈良県の文化政策顧問を辞任したことや、年内に予定している国内の全公演の収益を、公益的な活動に取り組む団体に寄付する方針を明らかにした。
「もとより、これらの決断を以て、自らの犯した過ちが許されるものではなく、また、失われた信頼を容易に取り戻せるものではないことは、重々承知しております」
反田さんは、このように謝罪している。