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浮気旅行、宿泊先から自宅への「予約確認電話」で妻バレ&破局…施設側の法的責任は?
画像はイメージです(マハロ / PIXTA)

浮気旅行、宿泊先から自宅への「予約確認電話」で妻バレ&破局…施設側の法的責任は?

予約した宿泊施設が、自宅に電話してきたことをきっかけに、妻に不倫がバレた。施設の責任を問いたいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、こんな相談が寄せられた。

相談者は、妻にバレないよう、不倫相手との旅行を計画していた。会員制宿泊施設を予約したのだが、施設から「この度は、○月○日にご予約いただき、ありがとうございます」と予約確認の電話が自宅にかかってきたところ、電話をとったのは妻。不審に思った妻から問い詰められた結果、不倫が発覚してしまったという。その後、不倫相手とも破局した。

相談者は、宿泊施設の担当者が、自分に確認せずに本人以外の人に宿泊について伝えたことに怒り、担当者に責任を追及したいと考えている。不倫をバラしてしまう結果となった今回のようなケースはプライバシー権の侵害として、担当者の責任を問うことはできるのか。小沢一仁弁護士に聞いた。

●プライバシー権の侵害となるか?

「今回の相談は、宿泊施設の担当者の行為が不法行為(プライバシー権侵害)に当たるのかが問題になります。

ある情報がプライバシーに属すると言うためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)私生活上の事実またはそれらしく受け取られるおそれのある事柄であること、

(2)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること、

(3)一般の人々に未だ知られていない事柄であること

今回のケースでは、担当者が口外したのは、宿泊施設名と、予約日であると思われます。その場合、(1)と(3)はともかく、(2)を満たすかは疑問があります」

宿泊施設の責任を問うことは難しいのだろうか。

「不法行為が成立するには、故意又は過失が必要です。今回相談者は予約時に、自宅の電話番号を伝えています。しかし、自宅の電話であれば家族が電話に出ることは、相談者ご自身にとっても予測可能だったはずです。そのため、担当者は宿泊予約に関する情報を電話口に出た人物に伝えても構わないとの認識を持っていたと考えられます。

以上によれば、担当者には不法行為の故意又は過失がないと言え、不法行為は成立しないと思われます」

相談者が苦痛を感じているようだが、慰謝料の請求は難しいのだろうか。

「家族に予約日等を伝えられたことだけでは、通常相談者に精神的苦痛は生じないと思われます。不倫目的の宿泊かどうかは、担当者にとっても通常予測困難なことです。そのため、不倫が発覚したことで、相談者に精神的苦痛が生じたとしても、担当者の行為と因果関係はないと思われます。

今回のケースでは、相談者が担当者の責任を問うことはできないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

小沢 一仁
小沢 一仁(おざわ かずひと)弁護士 インテグラル法律事務所
2009年弁護士登録。2014年まで、主に倒産処理、企業法務、民事介入暴力を扱う法律事務所で研鑽を積む。現インテグラル法律事務所シニアパートナー。上記分野の他、労働、インターネット、男女問題等、多様な業務を扱う。

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