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2020年07月11日 09時43分

妻の不倫相手を許さない! 怒りにかられた夫が選んだ「復讐」には、法的なリスクも

妻の不倫相手を許さない! 怒りにかられた夫が選んだ「復讐」には、法的なリスクも
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

夫(妻)の不倫相手に制裁を加えたいーー。許せない気持ちを抑えられず、中には冷静な判断ができなくなってしまう人もいる。

弁護士ドットコムにも「妻が勤務先の後輩と不倫をした」という男性が相談を寄せている。

相談者の妻は、自らが既婚者であることを隠し、勤務先の後輩と関係を持っていた。このことを知った相談者は、妻の不倫相手を呼び出した。そして、今後は妻に会ったり、連絡をしたりしないこと、就職先や住所を変えた場合は相談者に連絡すること、違反した場合は慰謝料を請求することなどを記載した書面にサインしてもらった。

不倫相手は、その後間もなく妻の勤務先を退職したが、新たな就職先に関する連絡はなかった。加えて、相談者は、知り合いから「(妻の)不倫相手は、相談者の妻が既婚者だと知っていたと思う」という話を聞いた。

怒りのあまり、不倫相手の実家あてに不貞の事実と相手を侮辱する内容を書いた手紙を送ってしまったという。

●刑法上の「犯罪」、民法上の「不法行為」にあたる可能性は?

冷静になった相談者は「知り合いの話が事実なのかも分からないのに、とんでもないことをしてしまった」と後悔しているようだ。

不倫相手の実家あてに不貞の事実と相手を侮辱する内容を書いた手紙を送る行為は、刑法なんらかの犯罪にあたる可能性はあるのだろうか。河内良弁護士は、次のように説明する。

「成立の可能性があるとすれば、まずは刑法上の『名誉毀損罪』や『侮辱罪』です。しかし、これらの犯罪が成立する要件として、いずれも『公然と』おこなうことが必要とされています。

『公然と』とは、『不特定または多数人が知り得る状態に置くこと』をいいますので、実家に手紙を送りつけても、実家の家族という『特定かつ少数』の人しか目にしないと思われます。そのため、今回のケースでは『公然と』にあたらず、名誉毀損罪や侮辱罪は成立しないと思います。

ただ、手紙を送る前に、不倫相手に連絡をして『いうことを聞かないなら手紙を実家に送る』と告知したような場合には、その告知する行為自体が『脅迫罪』、(謝罪などの行為の要求を伴う場合には)『強要罪』、(慰謝料請求を含む金品の要求を伴う場合には)『恐喝罪』にそれぞれ該当する可能性があります。

また、手紙を送りつける先が実家ではなく勤務先であるような場合には、名誉毀損罪や、勤務先の業務を妨害する『業務妨害罪』などが成立する可能性もあります」

犯罪にならなかった場合でも、不貞の事実と相手を侮辱する内容を書いた手紙を送る行為は民法上の不法行為にあたる可能性もあるのだろうか。

「はい。不法行為に該当する可能性があります。かえって、不倫相手から慰謝料を請求されることになるように思われます」

●「就職先を変えた場合は連絡する」という約束は強制できる?

相談者は、不倫相手が就職先を教えなかったことを理由に、慰謝料請求したいとも考えているようだ。しかし、河内弁護士は「就職先や住所を変えた場合は相談者に連絡する」という約束は「法的強制に馴染まない性質のものとも思えます」と指摘する。

「仮に、この約束が法的に強制しうる性質のものだとしても、請求できる慰謝料の額は極めて少ないと思われます。

むしろ、作成した書面からは、『今後はしない』という約束によって不倫を許した、ということが読み取れるようにも思えます。ですので、このような書面を作成することは得策ではありません」

相談者のように配偶者の不倫を知り、怒りのあまり衝動的に行動してしまう人もいるようだ。このようなことを防ぐため、河内弁護士は次のようにアドバイスする。

「今回のような書面を作成する前、できれば不倫を知ったときからなるべく早い時期に、配偶者や不倫相手に知られることなく、弁護士に相談するとよいでしょう。そして、今後の対応策について希望を伝えながら、よく検討するべきだと思います。

たとえば、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求したいと思うならば、調査会社等の利用により証拠固めをしなくてはなりません。

また、怒りのあまり取りたい行動がある場合に『そのようなことをすれば、民事上の不法行為責任を負うおそれがある』などの説明も受けることができます。こまめに弁護士に相談することを強くお勧めします」

取材協力弁護士

河内 良弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。

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